幸せ『ルシファー。』
自分を呼ぶ声。
昔に天国に置いてきた半身。
そして私を地獄に叩き落とした
私の兄。
「はぁ…………。夢見が悪い。」
夢見が良かったことなんて地獄に落ちてからなかったが。
兄の声を聞くのは久しぶりだった。
心地よくて不愉快な声。
二度と私に話しかけないで欲しい。
夢の中に唾を吐き、重たい身体を起こした。
「ルシファー?起きたのかー?腹減ったからなんか作ってくれー。」
ノックもなく寝室にはいりベッド脇に来るアダムは私の恋人だ。
元妻の元夫とこんな関係になるなんて……。
人生は何があるかわからない。
「はぁ………お前は、少しは自分で作ろうとか思わないのか…いや、いい。キッチンを爆発させられても困る。」
「なんで私が失敗すること前提なんだよ。」
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