死体を山に埋めに行く隼旬 真夜中に電話がかかってきたから、なんて非常識なんだ、と思った。いつもならぐっすりと眠っている時間だ。たまたま暑くて寝苦しく、眠りが浅かったから起きてしまったというものの。半ば寝ぼけた頭で、僕はスマホの表示を見る。
「もしもし……、ハヤト?」
「もしもしジュン? どうしよう、俺、人殺しちゃった」
「……え?」
寝ぼけているのだと思った。そうであれと思った。再度聞こうと思ったのに、なぜかそれはためらわれた。僕はスマホを握る手を右手から左手に変えて、「今どこですか」と聞いた。
「前にハイジョのみんなでピクニック行ったの覚えてる? なんて山か……」
「行きます」
そこなら、この家から歩いて十五分やそこらだ。こんな時間、僕以外で示し合わせてどっきりをしかけるようなこともしないだろう。ハヤトの声が震えている。僕は急いで着替えて、家の誰も目を覚まさないことを祈りながら玄関を静かに開けた。
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