モクチェズ版ワンライ_声 相棒として、彼のことをもっと知らねばと思った。数十年の放浪を全て把握することは難しかったが、とある国で伝説の整体師と呼ばれる、消息不明の人物がいると聞いた。伝手を使って調べて見れば、恐らくその正体は私の相棒だ。それを聞きつけた後、すぐさま整体用のマッサージベッドを手配して、あまり使われてないゲストルームの真ん中に配置した。
「これ、どうしたの」
「伝説の手技を披露していただこうかと」
仕事を終えて帰宅したモクマさんを、挨拶もそこそこにゲストルームへ迎え入れる。困惑した表情ながらも促されるまま入室したモクマさんは、正面に鎮座するベッドを見て目を丸くし、訝し気に私を見た。
「必要そうなものは一通り用意しましたが、足りないものがあれば仰ってください」
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