告白日和 触れてみたいと言ったのはこちらの方だった。
「そう、ゆっくり優しく……」
腕の中に収めた体はやわらかく、肉厚であるのにどこか心許ない。風呂上がりだろうか。あたたかくて、優しいにおいがする。
「手はそこ、ゆっくり……抱きしめて」
肩口に寄せられたくちびるからこぼれる声に湿度が混じっている。耳を掠める息は熱く、煽っているようにさえ聞こえた。ゆっくりなんて、拷問だ。
向かい合ったまま抱きしめた腕に力を籠める。女といえど男と遜色なくしっかりと鍛えられた体が、みしりと軋んだ感覚を覚えた。
力を入れすぎたと謝る前に、吐息は色を帯びる。
「んっ……だめじゃないか、そんなにしたら壊れてしまう」
普通の女の子ならね、と付け加えることを忘れないこの女をどうしてやろうかと腹の奥が煮える思いがした。
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