『ティニー、お前はレンスターの方へ向かえ。これまで迎撃で向こうも疲弊している筈だ。それに、先の隊の報告によればあいつらは魔法にはめっぽう弱いみたいだ。…キュアンのこせがれを撃て。そうすれば、戦いもすぐに終わる。ティニー、やってくれるな』
伯父であるブルームから告げられた言葉が、ティニーの頭の中で繰り返し反芻されていた。
城外に出ると、噎せ返るような血の匂いがティニーの鼻腔を打った。
あちこちに死体が転がる凄惨な光景に、ティニーは胃の中のものを全て吐き出しそうになってしまう。
地面に転がる死体のすべては、アルスター兵のものである。
槍や剣に貫かれたような痕が見受けられた。
――これが戦場……。
逃げ出したい気持ちをぐっと堪え、ティニーは魔道書を抱きしめ、レンスター城へと向かう。
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