手を繋ぐアルハイゼンは頭を抱えた。秘境の宝で借金返済してやると意気込んで出て行ったルームメイトは五、六歳の子供に成り果てた挙句記憶もなくして帰って来た。同行した旅人曰く、時間が経てば元に戻るという。「お前のとこに居るのが安全そうだからな!」と元気よくのたまった空飛ぶ非常食には言いたいことがあり過ぎて逆に何も言えなかった。
初めこそきょとんとして大人しくしていたカーヴェだったが、現在家の床を画用紙で占拠している。パステルと紙を与えておけば大人しく座っているだろうというアテは外れこそしなかったものの、ものの数時間で部屋をアトリエにされた。これならまだ、元気よく走り回ってくれたほうがマシだったと思う。騒音は耳栓で防げる。
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