「如月会ども!!よく聞け!!派手な生前葬といこうじゃないか!!」
暁人の声を聞いた舎弟が一斉に動きだし、カチコミが開始した。
「テメェら!!さっさとあのバカをぶっ殺せ!!」
「邪魔するな!!」
「うるせぇ!邪魔してるのはそっちだろ!?」
「雑魚は引っ込んでろ!!」
暁人の号令により全員が一斉に戦闘入るのだが、武器がある意味個性的なのだ。
「銃とか刀は無いのか?」
「銃はそもそも無いし刀は鑑賞用、法律に反しないようにした結果があれ」
竹刀や木刀ならまだしも、チェーンソーやネイルガンに工具箱、挙げ句の果てには一升瓶やバーベルといった武器を手に持っている。
「まぁ、武器がチャカになったらそれはそれで問題になるからな」
刀とかよりも、竹刀や木刀の方がまだマシだ。武器の扱いは荒事に精通した舎弟たちに任せることにしよう。
「如月会も参戦するんだな」
「お荷物が口出しすんじゃねぇ!!」
「テメェら!!何をやっているんだ!?さっさとぶっ殺せ!!」
「あら?切り裂かれたいのは誰かしら?」
「死なない程度にお願いします」
「おめぇらぶっ殺さねぇと酒飲めねぇんだよ!!」
「俺の筋肉の糧になれ!!」
舎弟達が相手してる間に俺と暁人は奥へと進む。途中に見張りがいたが暁人が蹴りだけであしらってしまった。両手をポケットに突っ込んだまま一瞬で倒す様はまさに美男子のホストといった風情だ。
「拳使わないのか?」
「あまり汚したくないんだよ」
暁人の解答は納得だ。
「でも、足塞がれたらどうすんだ?」
「拳を使う」
「そうか」
二人で進んでいくと、地下へと続く階段を見つけた。
「この先か?」
「多分そうじゃない?」
「じゃ、行くか」
「決定」
二人で階段を降りて進んでいくと開けた場所に出た。
「よく来たな」
そこには、般若の面をつけた男が立っていた。俺たちが来るのを分かってたのだろうか?
「誰だ?」
「ふむ。仮面をつけてるからといって分からんのか」
「般若の面つけてるやつは初見じゃ分かんねぇよ」
「面出せジジイその面かち割るぞ」
暁人が敵意を剥き出しにしてガンつける。般若の面をつける意味あるのだろうか?とりあえず、般若の面の男は俺たちの前に立ち塞がった。
「如月会の会長はお前か?」
「如何にも、私の部下が何人か世話になったようだな」
「部下だと?噂を耳にしたけど道具みたいにこき使ってるってホントなのか?」
「ふむ」
会話だけ聞いていれば男と暁人の会話って感じがする。が、実際はそうではなくて、これは尋問だ。
「何人か僕のところにカチコミに来たけどさ、今は全員雇ってるけど」
「戻ってこないと思ったらそう言うことか」
「お前、何が目的だ?金と人を集めてどうする?悪巧みは上手くいかなかったのか?」
暁人が問い詰めるが般若の面の男は余裕たっぷりと言った感じで暁人を見つめる。
「金と人は全部私を慕って集まってきたのだ。私が何もしなくても集まってきたのだ」
「その割にアンタの手下たち、みんな貧乏くせぇぞ?たっぷり搾り取っている証拠じゃないのか?」
俺が暁人に続いて言うと般若の面の男は「ふむ」と頷きながら答えた。
「我が配下は金と人が目当てだ。だが、それだけでは人は付いてこない。だから、私の力を誇示するためにこのような仮面をつけているのだ」
「それ、単に自分を飾り立てて弱いのをバレないようにしてるだけだろ?」
暁人の一言に男は図星を突かれたようで、どこか動揺した雰囲気を出してる。
「強い人間ってのは自分の弱さを隠したがるのさ。でも、俺は別だ。自らの弱さをさらけ出し、相手に自分の強さを見せつけることが出来る。それが俺の強みだ」
「強がっている割には、膝が震えておるが」
「これは武者震いだ」
暁人が言い切る。言葉の端々に自信が満ち溢れてるのが分かる。
「ふっ」
男の雰囲気が明らかに変わった。
「一つ聞くが、ちゃんと戸締まりはしたのか?」
「どういう意味?」
「ここに部下を引き連れて来たのだろう?だったら、今は空ということかな?」
男の言葉にある不安が過る。
「暁人、麻里はどうした?」
「カチコミに行くから家に置いといたんだけど、一応玉置さんと御影さんがいるから大丈夫だと思うけど・・・まさか!?」
「おそらく、お前の考えは正しい。今頃、お前の妹は私の手の者が始末しているだろうな」
その言葉に暁人は怒りを顕わにする。
「テメェ!!自分の配下を何だと思ってるんだ!!」
「道具だ。だが、この手で直接殺さずとも手下共がやってくれる」
「っざっけんじゃねぇ!!!」
「暁人!!」
怒りのあまり、男へと突っ込もうとする暁人を止める。
「落ち着けバカ!」
「離せ!コイツだけは許せねぇ!!」
「だからって無策に!」
「離せジジイ!!」
すると暁人のスマホから着信音が鳴り響いた。