見られた方「……店長さんには俺はどう見えてるんですか」
「もちろん、普通の男の子ですよ」
嘘だ。この女には俺の正体が分かっている。
強い風が吹いた。カラスが大きな声を上げて飛び立つ。
営業部長が低く喉を鳴らす。グルル…グルル…。
柳楽凌はその場から1歩も動かずジャスミンティーのペットボトルを持っている。しかし、コンビニのガラス張りの壁に映るその姿は紛れもなく化け物の姿で。
「おや、」
御領は呟く。
「猿の尾を踏んでしまいましたか。」
「図に乗るなよ、女。」
その口から出る声は、紛れもなく柳楽凌のもの。しかし先程より低く、ノイズがかってがちゃがちゃと不快な響きをしている。
闇に浮かぶ三日月のような瞳が御領と営業部長を見下している。
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