リンゴ甘いか酸っぱいか #4「みなさん、今日のゲストはチャンプルタウンのジムリーダー、アオキさんです」
「……アオキです。本日はよろしくお願いいたします」
とうとうこの日が来た。そば近くに感じるアオキの存在にドギマギする心を隠し、興味津々といった様子の生徒たちを見回す。もう何度も繰り返した、美術室でのジムリーダー写生会は有終の美を飾ろうとしていた。見慣れた風景のおかげで、アカデミーの入り口でアオキを出迎えた時の緊張と高揚がゆっくりと静まってゆく。
「チャンプルタウンという場所は、美味しい店が多い賑やかな街です。小生もお気に入りの店が多いのですが、行った経験がる方は手を挙げてください」
はい、とバラバラと手が上がる。これまで他のジムリーダーたちを招いた時とさほど変わらぬ数で、自分の出身地でもあるのだと話す生徒もいた。
7843