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    葵そら

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    葵そら

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    ❄️🌸ブラネロ♀
    ネロが泥酔する話。

    #ブラネロ
    branello

    飲み過ぎ注意熱い吐息が直接肌にかかるほどの距離でネロが話をしている。ブラッドリーの手をぎゅっと握っているが本人にその自覚はないらしく指摘したら悪い、と言ってぱっと手を離すのにまたすぐ握ってきた。
    ブラッドリーは何度目になるかわからないため息を吐きながらこんなことになった原因の甘い液体を眺めた。


    姉さんから贈り物が届いたんだ、とネロが持ってきたのは春の国の名物である蜂蜜酒だった。
    春の国で作られる蜂蜜酒はとても珍しく高価で、めったなことではお目にかかれない。
    さすが女王というべきか、ネロの姉であるシャイロックが送ってきたという蜂蜜酒はその中でも最高級な代物だった。
    最初はネロの作った夕食と一緒に蜂蜜酒を飲んでいたのだが、まだ飲み足りない、とネロが言うからナッツやチーズなどをつまみに談話室で飲み直すことにした。その時からちょっと様子はおかしいな、と感じたが、楽しそうにしているものだからついつい流されてしまった。
    気がついたらネロの目はとろんと下がっており頬は紅潮して、ブラッドリーに体を預けるようにしなだれかかっていた。手を握っていることは何度か伝えたが離してもまたすぐ繋いでくるからもう指摘するのも止めた。


    「だからさ、俺は言ったんだよ。それは勘違いじゃないか?ってさ。そしたら…」

    さっきから呂律の回らない口調でずっと話を続けている。それにあぁ、とかへぇ、とか適当に相づちを打っているけど、そろそろ限界だな。主に理性が。

    「なあ、聞いてるか?!」
    俺の気のない返事に気づいたのか、ネロが俺の顔を覗き込んできた。近けぇよ。

    「ネロ、お前飲みすぎだよ」
    「まだ飲める。昔はもっと飲んでた」
    「もう夜も遅いしさ、寝ようぜ」
    「えっ?!…ね、寝るのか…?」
    「?ああ、嫌なのか?」
    目を擦ってたから眠いのかと思っていたが違ったのか?
    「い、嫌ってわけじゃないけど…一応夫婦だし…でもまだ心の準備ってもんが……」
    もごもごとなにか言っているがよく聞き取れなかったので、あ?と聞き返すと何でもない!と顔の前で大きく手を振った。

    「ほら、行くぞ。立てるか?」
    そろそろ寝ないと明日に障るな、と思いながら繋いだ手をそのまま引きながら立ち上がった。つられて引っ張られたネロは、立ち上がりこそしたものの足元が覚束ないのかフラフラしている。はぁ、とため息を吐き、手をこっちに回せ、と言いながら首に回させた。しゃがんで背中と足に手を回し下から抱え上げると、横抱きにしてネロを寝室まで運ぶことにした。
    ネロは浮遊感にびっくりしたのか首にぎゅっと抱きつくように体を寄せてきた。
    運ばれている途中に、腕の中でうつらうつらと目を閉じては開くを繰り返していた。やっぱり眠かったんじゃないかよ、と思いながら「寝てもいいんだぞ」と声をかける。
    うーん、と返事はするものの、意識はほとんど無さそうだった。

    ネロの部屋に着いて横抱きにしていた体をベッドに寝かせる。このまま同じベッドで寝たいところではあるが、まだ寝室は別々。一緒に寝たことは一度もない。
    「なあ、ブラッド」
    消え入りそうな声でネロが語りかける。「あんたは、何で俺と……」一緒になったんだ?という言葉は途中ですぅ、という寝息に変わった。
    完全に目を閉じて寝息を立てているネロの顔を見つめながら起こさないように髪を撫でた。
    何で結婚したのか、だって?
    そんなの、好きだからに決まっているだろう。ずっと、昔から。
    でもネロは恐らく昔のことを覚えていない。その上、政略結婚で不本意ながら嫁いできた身だ。慣れない冬の国の生活にもやっと馴染んできたところだろう。
    ネロと無理やり体を繋げて俺のものにするのは簡単だ。でもそれだとネロの心は手に入らない。
    昔のことを忘れているならそれでもいい。もう一度、俺のこと好きにさせてやるだけだ。

    だから今は、これくらいは許してくれよ、とネロの額にかかる髪をそっと除けて唇を落とす。
    いつかお前の全てを頂くから、その時を楽しみにしとくぜ。微笑みながらネロの部屋をあとにした。
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    44_mhyk

    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523

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    ada

    REHABILI盗賊時代のブラネロの話 / 捏造注意 / 身体の関係がある遠い噂で、西の国で絢爛豪華な財宝や金品が展覧されると聞いた。筋は確かな情報のようで、近頃街が色めき立っている。こんな美味い話、頭が聞き漏らす訳もなく作戦は決行された。
     盗むのは自らの手が良いと宣う頭に付き合うのは相棒であるネロの役目だ。招待された者しか入れないというその会場である屋敷に、招かれた客と偽り出向く事になった。
     普段は見てくれから粗暴なのが分かるような男の出立ちだが、今回は仕立て屋で身を整える気の入り様から、潜入すらも楽しんでいる事が分かる。正直、動き易ければ拘りのないネロだが、ブラッドリーは長考し続けネロを着せ替え続けた。
    「よし、いいんじゃねえか」
    「これが駄目でももう着替えねえぞ」
    「なにくたびれてやがる、早えんだよ」
    「俺は今回従者なんだろ? なら別になんだっていいじゃねえか」
    「あのなあ。従者がどんなモン着てるかで主人である俺の程度が分かるだろ」
     従者の装いという事で首が詰まっているのが息苦しい。仕上げと言わんばかりにタイを手際良く締めるブラッドリーはずっと上機嫌だ。
    「よし、あとはお前が俺様に傅きゃ完璧だな」
    「馬鹿言え、やんねえよ」
     頭の機嫌がいいに越し 2630

    plenluno

    DONE1/14「そういうことにしてるつもり!」8~New Year Party~展示作品②
    読んでいただきありがとうございました!ぜひアフターでもお楽しみください!
    元相棒と野球拳。
    魔法舎です。最後だけ微微えちです。
    まほやく世界にじゃんけんが輸入されてたのを公式で確認した(どのストか忘れた)のでそのあたりを修正したりしています。
    それだけじゃ足りない 「野球拳?」
     とある晩酌の夜、ネロは耳慣れぬ単語を反芻した。グラスの酒をあおって身じろぐと黒塗りのソファが小さく鳴く。隣に居るブラッドリーは酒を呑みながらネロ特製のつまみに舌鼓をうっていた。
    「前の賢者に聞いたんだよ。じゃんけんして、負けた方が服を1枚脱ぐらしい」
    「―っ! はぁ!?」
    ネロは酒を吹き出しそうになって何とか堪えた。
    「だから、負けたら服脱ぐんだよ。」
     ネロは賢者の世界のじゃんけんについて軽く反芻する。握りこぶしの形のグーは石、手を開いたパーは紙、人差し指と中指だけを立てたチョキはハサミを表す。グーにはパーが強く、パーにはチョキが強く、チョキにはグーが強い三つ巴。3種の手の形と関係さえ覚えれば簡単だ。こちらの世界の似た遊びに賢者が反応したのをきっかけに話が盛り上がって以来、魔法舎では賢者にあわせてじゃんけんが使われることが増えた。子ども達が夕飯の献立で揉めたときなどはじゃんけんの勝敗ですんなり決まるのでネロにとっては便利だった。
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