そうじゃないです、お二人さん「で? あらためて聞くが。 お前は何で千鶴を嫁にしたいんだ」
原田の問を、風間は一笑に付した。
「数少ない女鬼だからに決まっている」
「だーっ! そうじゃなくてさっ」
「落ち着けよ、平助。女鬼なら誰でもいい……ってわけでもねぇんだろ?」
永倉の言葉にも、鬼の頭領は眉一つ動かさない。
「今問題にしているのは雪村の娘だ。ほかの者のことなどどうでもいい」
「っつっても、あの千姫や君菊には見向きもしねぇじゃねぇか」
「そう、そうなんだよな、さのさん!」
「なぁ、風間の旦那。よーく胸に手を当てて考えてみろって」
「考える必要などない。あれは俺の妻だ」
「いやだから、その前の段階っていうかさぁ。手をつなぎたいとか……その」
3438