02【晴れるまで待てない】少し前まで燦々と降り注いでいた日射しは、午後に入ると途端に分厚い雲に覆われて、間もなく大粒の雨を落とし始めた。
「あちゃー……やっぱり降っちゃったか」
尊は窓の外を見て、うんざりした様子で呟いた。昨日までの予報では一日快晴のはずだったのに、いざ蓋を開けてみればこの有り様だ。
『尊、今日出掛けるのはやめておいた方がいいんじゃないか?』
机に置いたままのデュエルディスクから飛び出した不霊夢は窓辺に寄ると、ガラスに張り付く雨粒を指先で拭う動作をした。ガラスの向こうの雨粒には当然触れられないので、なぞるだけだったが。
「でも、今日は鴻上んとこ行く約束してるんだよね」
『だが、今調べた気象予報では当分止む気配はないと出ている。豪雨の中外を出歩くのは危険だと思うのだが』
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