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    20210803 ネタバレするとランガじゃない からこれはモブとの絡みになるかも
    このあとランガの夢に出た愛抱夢B相手に彼の夢に僕…それはつまり…?えっ…?ってなってる神道くんによる疑心暗鬼ゴーストバスター!!がはじまる 頑張れGS神道

    ##微妙
    ##全年齢

    夢は醜きあなたの願望 夢に君が出るのだと告げても何も反応が変わらないことを吉と見ようか凶と見ようか。何にせよ周りの彼らはその品のない顔を止め今すぐ何処かへ去ってほしい。
    「一応、一応ランガの代わりに聞いといてやるが……どんな夢だよ」
    「……秘密」
     面白い程各々顔色を変えああだこうだと喧しい半分以上成人の男共のなかで彼だけは動じないまま――かと思えば持ち前の好奇心だけは働かせていたらしく一通り食事を終えるとこちらに顔を寄せ、
    「どんな?」
     自分だけは教えてもらえるだろうと確信を持つ目には悪いが元々内容を教える気は無かった。特に彼にだけは。
     君が裸で跨がってくる夢だなんて――破滅したって言うものか。
     初日はまあ今よりは暢気に構えていた。夢だとしても会えたことは喜ばしかったが全感情に対していえば一割程度。なら残りの九割は何かと言えば当然圧倒的な空しさだ。未成年でも今時こんな欲望丸出しの夢を見ないだろう何を考えている貴様とやり場の無い感情をひたすら犬にぶつけ取引相手にぶつけそれはもう発散し尽くしたから大丈夫だろうと思い就寝し翌日、鏡に映った顔は今にも卒倒しかねない青さだった。
    「俺も駄目?」
    「すまない」
    「ううん。いい」
     それじゃあと離れていく後ろ姿は当たり前だが服を着ている。身体の動きに合わせ揺れるシャツの下うっすら透けるインナーの正確な色もその更に下だって自分は本物を知らない。なのに見る夢は。
     仲間達に囲まれわずかにやわらぐ横顔にぼんやりと愛しさを覚え、締め付けるように胸が痛んだ。あれ程までにまっさらな生き物に自分は毎夜夢とはいえ裸を晒させ、あまつさえあんな真似を。いや夢の中の自分は不思議と身体を動かせないので正確には彼が自分相手に勝手にしているだけなのだが夢は願望つまり結局自分がやらせているのだ言い訳をするな。
     同じ夢を見続け早一週間、既に喜びは消え空しさが五割へ。そしてじわじわと感じたことの無い部類の恐怖が押し寄せている。本当にアレが願望の表れで自分が目を逸らしてきた内心の暴力性だとするならば彼と結ばれた自分はもしや、だとすればこうして密かに思いを抱くことすら間違いなのでは――。罪悪感から逃れるためいっそ詫びようかとも考えたがその場合おそらく一分の隙も無く理由を説明するまでしないと彼は納得しないだろう。そうしたが最後自分はこの場で切腹だ。それに万が一許されたとてそれはそれで不安というか、ああ悩ましい。
     遠く見える彼の表情は無寄りだが比較的明るく、ただそのままで居てほしいと思う。――罪滅ぼしとは行かないにせよ今度せめて彼の喜びそうな何かを催そう。そして二度とあんな夢を見ないよう今夜は目についたプレーヤーを片っ端から愛していこう。疲れきればきっと一瞬で朝が来るに違いない――。
     ――声が出せないので心で叫ぶ。畜生。やはりもう二三人消費しておくべきだった。
     今夜も現れた裸体はぺたぺたとベッドに近づくと四つん這いになり、仰向けの状態から全く動けないこちらへ一方的に距離を詰めてくる。身体と身体の隙間を埋めるよう身を寄せ鼻先が触れてしまいそうなほど迫った顔の中心――青く澄んだ目は昨夜の本人とうりふたつ。目が眩みそうだ。
     顔はじいっとこちらを見つめ続けていたがふいにもぞもぞと唇をぎこちなく動かし、やがてゆっくり。
     ほぼ無意識に息を飲んだ。微笑む彼などなかなか――少なくとも自分に向けられたのは一度だけだ――見れるものではない。こんなおかしな状況とはいえ至近距離で目にすれば多少心臓は跳ねるし脈も乱れる。あくまで多少だがこちらの動揺を彼も気取ったらしい。嬉しそうに笑みを深めると、そのまま口をぱかりと大きく開いた。愛らしく染まる頬と真っ赤な舌。ギャップにガンガンと揺れる脳は正常な判断も出来ず、近づくそれをただ受け入れ――。
     口内をゆるく舐められた瞬間、全身の産毛が逆立つような怖気に襲われた。警鐘が鳴り響き本能が訴える。逃げなくてはいけない、自分は今侵されている――
     祈りが届いたか身体が生存に必死なのか、はたまたこのキスとも言い難い何かのせいかは知らないがとにかく唯一動かせるようになった歯を――夢の中とはいえ傷つけたくは無いので軽めだが、舌めがけて噛み合わせた。すると。

     ぼとり。

    口の中に舌が落ちた。

    「――――ッ!?」
     見苦しかろうが形振り構う暇はない。咄嗟に吐き出したそれはシーツを汚す。びちびちと跳ねる、黒く湿った、泥の塊。
     身を起こした彼は動じる姿ひとつ見せずただ自身の唇をなぞり叫んだ。
    「あ――――――あ」

     あれから数日。彼の夢は一度も見ていない。分類的にはおそらく悪夢だったが特に珍しくもないし最終日以外はそこそこ良い思いもさせてもらったので文句はない、何より願望説を完全に否定できたのは大きかった。これで安心して彼を想い続けられる。
    「……というわけで残念だが君の夢はもう見られそうにない」
    「ふーん」
     会う度聞きたがっていたわりに反応が薄い。話すにあたり大部分を省略したのが良くなかっただろうか。だが全て話したところで自分を使い異常な妄想に耽る男と思われるのも苦しい。夢の中で何をされていたかだって「君が愛し合おうと言うので楽しく夜が明けるまで愛を表現した」で押し通したのだ。彼のなかでは自分が愛し合うと言えばそれはスケートの話になる。物は言い様。回りくどく生きていて良かった。
    「このことは君と僕の内緒だよ。誰にも話さないように」
    「わかった……じゃあこっちも、内緒」
     やわらかい無表情は淡々と告げる。
    「昨日夢に愛抱夢が出た」
     夢は願望説再浮上なるか――と思いきやその際の様子を尋ねたところ彼は不思議そうに。
    「何か落ち込んでた」
    「僕が? どうして」
    「さあ……でもずっと言うんだ。失敗した、失敗した。もう少しだったのに、って………………愛抱夢?」
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