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    zirakichi

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    マレンゴ・ボナパルトの過去?です

    オリユス・リーシャの命令により、俺の故郷は他の星々との戦争を強いられた。宗教の対立でもなく、領土の奪い合いでもなく、ただただ意味もなく殺し合うことを命じられた。普通はそんな意味の分からない命令、誰も従わないと思うだろ?でもあの恐ろしい瞳を見たら、誰もが奴の話に首を縦に振ることしかできなかった。奴はきっと、人の命が消える瞬間をいつだって笑顔で眺めていたんだろう。

    ー「将来の夢?そうだな、親父みてぇなパイロットになりてぇな。」
    開戦当時、パイロットだった俺の親父はそのまま空軍として出兵した。皆が「そのうち帰ってくるだろう」などと考えていたはずだ。そんな浅はかな希望は虚しくうち砕かれ、しばらくして親父が戦死したという旨の通達が来た。親父は、骨の一欠片すらも帰ってこなかった。その時に初めて戦争というものを理解したと思う。
    見てもいない親父が乗った戦闘機が、敵機の攻撃を受けて墜落する光景は、脳裏に焼き付いて離れなかった。

    15の時の話だ。自分にも出兵要請が来た。…あんなにも親父と同じ空を飛ぶことを夢見ていたのに、空軍には志願できなかった。怖気づいたんだ。自分も親父のように死んでしまうかもしれないと考えた。あの頃はただのガキだったから、一丁前に死ぬことは怖かった。
    幸い…自分で言うのもなんだがな、運動神経の良さと親父譲りの優れた視覚も合わせて、俺は陸軍でオールラウンダーの優秀な兵士として名を上げた。
    だからこそ、この選択は間違いだった。

    それから数多の戦争を通して戦友はほとんど死んで、久々に帰った実家は瓦礫と灰の山になっていた。何か残っていないかと漁ったら出てきた二つの焦げた塊は、多分母と妹だ。もう1人の妹は消息不明のままだが、遺体が見つからないだけと考えるのが自然だろう。
    俺だけが生き残った。

    …もしあの時、親父と同じように戦闘機に乗っていたなら、人より優れたこの脚で陸を逃げ回ることはできなかった。
    きっと、墜落していく機体に乗ったまま、来たる運命にどうしようもないと身を委ねられた。
    そうして何もかもを喪う前に死ねただろうに。
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