一つ、入れ替わろう「ヤア、明智君。今日は趣向を凝らしてね、お気に入りの変装をしてみたよ」
「オヤ、二十面相君。その姿は僕にソックリじゃないか。いつの間に僕は、君のお気に入りになったんだろうねえ」
「ハハハ、明智君。野暮なことを言ってはいけないよ。この姿でね、僕はたくさんの盗みを働いて、さも君が犯罪をしているかのように、振る舞って見せるつもりさ」
「そうなのかい、ハハハ…僕の身は危ぶまれるということだねえ」
「そうさ。君はこれから犯罪者になってしまうんだよ。そして、いずれ留置場に送られて、暗い牢屋で、おいしくないご飯を食べて、イヤイヤ過ごさなくてはならないんだよ」
「フウン。君はそれでいいのかい、二十面相君」
「エッ。それでいいって、どういう事かい」
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