目が覚めたらそこは異世界で同級生達と一緒に魔王討伐の旅をすることになりました。(2) 「一紀くん!」
「イノリ!」
「氷室君!」
被ることなくそれぞれの呼び方を口にする。
一つ年下の後輩は、学校で会うよりもずっと大人びて逞しく見えた。
「どーも。あの…先輩方に対してとても失礼だとは思うんですけど、リョータ先輩もミノル先輩も馬鹿ですか、一体何をやってるんですか」
空気がピリッと凍てつくような一紀くんの言葉に、二人が不快感を顕に反論する。
なんで今日はこんなに揉め事ばっかり起こるんだろ。みんな疲れてるから?突然こんな世界に飛ばされて、モンスターが沢山出てきて、頭も混乱してるから?
「ずいぶんなご挨拶だな、イノリ」
「なにそれ、どーゆーツモリ?」
「今日まで美奈子先輩を守っていただいたことは感謝します。でも無事なのが不思議なくらいです。お二人とも、見たところ、戦士に魔法使い…基本職ですよね、しかもほとんどレベルアップもしていない。今日までろくに戦いもせずのらりくらり過ごしていたって訳ですか?」
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