たぶん、朝が近い。
どちらからともなく始めた共同研究も缶詰になって今日が3日目。薄暗い床には、自分と同じぐらいの体温の塊が、薄い布団に包まって潰れている。
「起きてるのかい」
問いかけると、気怠げに耳が動いた。
「テメエこそ」
「寝たまえよ」
「テメエが寝たらな」
「きみ昨日も遅くまで起きてたろう」
「お前に言われたかねーよ」
「きみが寝るのを見届けたら寝るさ」
「こっちもお前が寝るのを見届けたら寝るわ」
「永遠に寝れないじゃないか」
「じゃあ寝るな」
「君も寝れないんだぞ」
「オレは寝る」
「おや前言撤回かな?」
「うるせえ寝ろ」
「君が寝たらね」
「堂々巡りやめろ」
「君が眠れば済む話さ」
「…なんだよ」
「うん?」
「寝付けねえのか」
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