ピッコロから仙豆(せんず)を受け取り飲んだ未来悟飯、この場所が神殿だと気付くのに少し時間がかかる。
どうしてここにいるのか?
と、疑問が浮かぶ中、怒りが込み上げてくる。
「悟天くんを•••」
失った。
未来悟飯の脳裏に浮かんだその記憶、目の前でボロボロにされていく姿、意識がない中での悟天への攻撃、戦いごっこからはじまったそれは、学生悟飯の心の闇が溢れ出ていた。
「腕も同じにしなきゃ•••な」
左腕を落とされても声も上げない悟天を見ているだけなのは、未来悟飯もまた、身体を動かすのにやっとで、目の前に落とされた悟天を、引きずるかたちで抱き寄せた。
触る顔から温もりが失せている。
「つめ•••たい••••ごてんくん、悟天!」
学生飯は未来悟飯へと致命傷になる一撃を与える。
見上げる先にはピッコロの顔、視線を感じて未来悟飯に顔を向ける。
「ピッコロさん•••悟天くんは?」
「今、トランクスたちがドラゴンボールを集めている。」
やっぱりそうなのか、でもドラゴンボールなら大丈夫。
そう思いながら、未来悟飯は立ち上がるも、ふらつきピッコロに支えられる。
「無理はするな•••」
「俺•••俺は?学生の俺はどうしたんですか?」
「孫がどこかに連れて行った•••」
「••••そうですか。」
勝てなかった••••
「俺には勝てなかった。未来でトランクスも守れなかったんだから、ここでも、弟の悟天くんを、守れなかったんだ•••俺は何のために生かされたんだろう。」
ピッコロに体重がかかる、それだけで絶望している未来悟飯の気持ちが伝わる。
「悟天はドラゴンボールでなんとかなる、だから気に病むことはない。あの状態の悟飯にはオレでも勝てんだろう。」
「ピッコロさんは、俺が悟天くんを想っていることを知っているから、優しい言葉で慰めてくれるんです。死んでしまってはなんにもならない、俺は、何もできない•••」
「悟飯•••」
涙が溢れ出る、哀しくて悔しくて何もできなくて、未来悟飯はピッコロの胸で泣いていた。
背中に手を回すピッコロは優しく暖かい。
「ピッコロさん、俺は、もっと強くなりたい。だから、修行に付き合ってください。」
「わかった••••」
デンデが走ってくるのが見えてピッコロはそっと離れる、未来悟飯の顔を拭う。
「デンデが、来た。」
「はい。」
顔を拭い、デンデに向ける。
「悟飯さん、気付かれてよかったです。あれ?顔の腫れ仙豆で治りませんでした?」
「そ、そんなことないです。どうしたんですか?」
はっと、察したデンデは何か別のことをいいそうになったが、ピッコロのテレパシーで「余計な勘ぐりはするな」と突っ込まれ、いま来た提案を持ってきて話し出す。
「左腕のことなんですが、これからもし本当に別の悟飯さんと戦うなら不利になると思うんです。だから、あくまで提案なんですが•••ピッコロさんの腕移植しませんか?」
「は?」
「デンデ、キサマ何を言って•••」
「ピッコロさんの腕生えてきますから、気にしなくても。で、悟飯さんどうですか?」
「そ、そうですね。お願いします。」
これからの戦いに備えて、未来悟飯の左腕はピッコロと同じ腕が••••
これが現代にいる悟飯をもっと追い詰めることになるとは、