その日、満月に近い月が出ている。
夕方、ピッコロさんに会いに神殿に向かう途中、大人のトランクスに出会う。
同じく神殿に向かう途中らしいので、そのまま平行に飛ぶことになった。
何も語ることはない、冷えてきている上空を飛び神殿につく。
ほんのりと入口が明るく見える、そこにたどり着くと足をつけた。
「悟飯さん。今日は、青い触手の魔物は一緒じゃないんですね。」
開口いちばんそのことか、
「ホイミスライムは置いてきている。」
それだけではなさそうだが、今日は俺も余裕がない。
「悟飯さん、悟天くんのことなんですが••••」
「悟天のこと?」
「はい。その、悟天くんをお嫁にください。」
「却下だ!何を言ってる、トランクスは彼女とかいるってここの俺が言っていたぞ!ふざけているのか?」
「俺、本気です。」
今日に限って、そんな話を持ち込むなんて••••
「ふざけるな!そんな話、付き合っていられるか。」
神殿の中で、俺を閉じ込めてしまわないと。
「じゃあ、オレは悟天くんを連れて行ってもいいですよね。」
意識が飛ぶ前に••••
「悟飯!やめろ!」
ピッコロさんの声がした••••
「悟飯。」
「ぴ、ころさん。」
体を預けている気がする。
父さんの姿もある、誰か倒れているようにもみえる。
「一時的なことだ、オレがこうしている間は大丈夫だ。」
「トランクスも、ボロボロだなぁ〜」
「とう、さん••••」
「でぇじょうぶ。ピッコロがいるんだ、ゆっくり寝てろ。」
そうか、ピッコロさんに支えられているのか。
暖かいなあ〜
神殿の部屋で俺は目を覚ます。
夕べの記憶はあまり覚えていないが、ピッコロさんに寝かされたようなそんな気がする。
起きるとパンツだけだったので服を探すも普段から着ている道着がなく、ジーンズにシャツを身に着ける。ボタン、上までは止まらないので途中までにして、靴もスニーカーを履いて出ていく。
「ぴったりだから、ピッコロさんかな。」
明るい日差しが舞い込んで、最初に来た時と同じような感覚で外へ出る。
香ばしい匂いが漂うので、そこへ向かうと父さんとトランクスの姿があった。
「お、おはようございます。悟飯さん。」
「おはようトランクス、父さんも。」
「なんだ、おらは、2番目か〜」
珍しいな、トランクスがいるなんて。
椅子に座ると、ピッコロさんも隣に座る。
「ピッコロさん、おはようございます。」
「おはよう。」
「悟飯、おらとピッコロの時の表情までちげぇなんてよう。」
「まあまあ、悟空さん。」
それは、父さんとピッコロさんとでは違うし、ここにいるトランクスも、別の世界の未来から来たから、俺の知っているってのと違うし。
「みなさん〜冷めないうちに食べてくださいね。」
デンデのひと声で、父さんはかつかつと食べ始めて、俺とトランクスはゆっくりと食べはじめる。
お腹いっぱいに食べ終わる頃には、ポポさんが何度も往復して食事を作りに出したりと大忙しだった記憶しか残らないくらいで、父さんがほぼたいらげていた。
そういえば、今日のトランクスの髪色って
「紫なんだな。」
「え?はい。髪の色ですよね、この色だと悟飯さんが覚えている色かと思っているんですけど。」
「未来から過去に来ていたトランクスはこの髪色だったぞ。この先の未来は別の色かも知んねぇが。」
時々の父さんの発言に疑問を投げたくなるも
「オレの場合は、その•••青髪になる時もあるので、その時々でしょうか。はははっ」
「そうか、トランクスは未来を知ってんだもんな〜」
俺の知る未来とは違う、
「悟飯さん、どっちのオレがオレらしいですか?」
「髪色のことなら、どっちでもいいんじゃないのか?どっちもトランクスだから。」
「悩みますが、ありがとうございます。」
髪の色で何かが変わるのか分からないが、それは未来が違うってことなのだろうと思う。
幸せの未来か、辛い大変だった未来かのどちらかしかない。
「んじゃ、飯食って落ち着いたし、おらは帰るっぞ。悟飯はトランクスと話をするんだろう?」
「俺も帰ります。ピッコロさん、また来ます。」
「いつでも来い。」
父さんのそばに行き、瞬間移動で小屋についた。
「父さんは、俺のこと何か知っているんですよね。満月の夜に抑えきれない衝動があるって。」
「そりゃ宇宙人だからよ、そういうのもあるだろ?悟飯は、おらたちがどこから来たってことも知ってるんだからよ。」
「そうですね••••」
世界は違うけど、サイヤ人であることは変わりなく、俺はハーフで尻尾がある時は満月をみると大猿になる、悟天には尻尾はなかったな。
「んじゃ、またな。」
瞬間移動で消えたのを見届けてから、小屋に入るとホイミスライムがゆらゆらとペタペタ触ってくる。
寂しかったのかな?
部屋に入ると布団の上にはゴロンと悟天がスライムに囲まれて寝ていた。
そばに寄って
「おはよう、悟天。」
と声をかける。
「ん〜にいちゃん、おかえり〜」
「朝は食べた?」
「うん〜。わあ~いつもとちがうふくだ〜」
「ちょっと座りにくいかな。」
あぐらをかいているところで悟天はいつものように座る。
「にいちゃ〜ん。」
「悟天は、好きな人いる?」
って夢のような事があったような•••お嫁に行く行かないって
「うん、いるよ〜」
「えええ。ご、ごほん。そ、それは、身近にいる人?」
「うん!」
そうか、それ以上聞けない。
がくんと頭が悟天の頭にくっつく。
「おちこんだの?だいじょうぶだよ、にいちゃんは〜おちこまなくても〜」
「そんなことないよ、大人は時々がくんとする時があるんだよ。悟天がお嫁さんをもらうのはまだ先だから、ホイミスライムもポンポンしなくても大丈夫だぞ。」
「それじゃあ、おおきくなったら、にいちゃんのおむこさんになるね。」
え?聞き間違えだろうか、そうだよな。
ここのにいちゃんだよな。
「ん〜聞こえなかったんだけど?」
「え〜と、みらいにいちゃんのおむこさんになる〜」
「俺の?嬉しいな〜」
「えがおになった〜」
後ろを向いた悟天にその顔を見られる。
嬉しいがそのまま笑顔になる。
悟天がいるだけで、こんなに心が穏やかになるなんて、
「ありがとう、悟天。」
「うん、にいちゃん。」
悟天の笑顔に癒される。