夜を編む 最悪の目覚めだった。
けれど飛び起きるというよりかは、やっとの事で浮上した意識を無理矢理固定させた後の気だるさの方が割合としては強い。
それでいて身体の方は纏わりつく乾いた泥を一枚ずつ剥ぎ取るように、あまり上手くは動かなかった。
ヒヤリとした汗が全身をくるんで、着ているTシャツの間を薄く伝う。
シャワーを浴びるほどでもない湿り気に薄闇の中で瞬きをしてから、深いため息を吐いた。
しばしそれを繰り返せば暗闇に目が慣れてくる。
すぐ傍らにいる物体を横目で眺めてから、静かに掛け布団から滑り出てベッドに腰かけた。
そのままフローリングの木目を足先で撫でつつ、サイドテーブルに置いたままの生温さを宿したミネラルウォーターのペットボトルを掴む。
2130