ドリソス THE ORIGIN 第6話パーター「カーロストさん、要するにカーロストさんの知り合いのヤクハさんっていう人からヨガで使うマット?を貰えば良い訳だな?」
カーロスト「そうです」
休日、自宅を出ようとするパーターは、一緒に住む父親代わりのカーロスト、兄代わりのパルロと会話していた。
カーロストとパルロはパーターが幼少期捨て子で別施設に保護されていたとき里子として迎え入れており、現在に至る。
2人は近為人で、生前は古代の海に囲まれた王国の王家だったらしい。
近為人(ちかいじん)
元々は人間であった半永久生命体。いわば不老不死に近い存在である。
身体が切断されても潰されても、この種特有の高速の細胞形成によりすぐに再生し、生死に影響は無い。
死んだ人間の体内に、種族名も無き半永久生命体の遺伝子や妖怪や幽霊の遺伝子が入った特殊な石、現人神玉(あらひとがみだま)を入れ、死者である人間本人の身体の一部を犠牲にすることにより、近為人になる。
近為人になったものは、生前の記憶の一部や全部を忘れてしまう。多くの記憶を忘れる者もいれば、少しだけ忘れる者もおり、個人差がある。まれに性格が大きく変わる者もいる。
各々固有の血の色が異なっており、普段は人間社会に同化するため赤色にして隠しているが、フライバイモード(通称 : FBM)という覚醒状態になると本来の血の色を見せる。
司書教諭フェズルや国語教師テララー、総統の弥古乃草儀(前回参照)は近為人である。
「変化術」(本体が自分とは別種の生物に化ける。これを用いる者を『変化使い』という。あパーターは変化術を使える)という超能力の起源は、近為人であり、どんな近為人でもこの能力は持っている。
カーロスト「北部の東部寄りにある3番通りに小さなレトロゲーム屋がありますが、
そこの店員がヤクハさんと一緒に住んでます」
その店員の名前とお店の道のりを書いた紙をカーロストに渡された。
パーター「オッケー!」
パルロ「待てパーター」
オレも一緒に行くよ
パーター「パルロ兄がなんで?まあいいけど」
パルロ「写真でヤクハさんの家族は見ただけだからな。生で会ってみたいんだよ」
メドーマン「ハアー。暇」
近為人として生まれ変わったメドーマン。
生前プロゲーマーだったが、とある不慮の事故...いや、事件に巻き込まれ彼女と共に命を落とした。
客全然来ねえ。メンテも兼ねてゲームやってるか
店に置いてあるアーケードのレトロゲームで遊ぼうとしてカウンターから離れると、店に男子2人組が入って来た。
パーター「こんにちはー。ここにメドーマンさんっていますかー?」
パルロ「すげー本当に古いゲームばっかり置いてある!こんなん見たこと無いや!」
昼下がり。
休日のはずだが、この店は付近にある大きなゲーム屋に客を取られ相当な物好きで無いと客は来ない。少しでも客寄せ出来る様に申し訳程度に
おにぎりが売られているが、それでも客が増えた実感は湧かないという。
メドーマン「...はーいいらっしゃーい、って君、今俺の名前呼んだか?」
パーター「あっ、お兄さんがメドーマンさんですか?」
メドーマン「...そうだけど。何の用?」
パーター「あなたと一緒に住んでるヤクハっていう人が俺の家族の知り合いで、俺の家族がそのヤクハさんからヨガのマットを譲り受けたいと言ってるんです。話に聞くと既に約束はしてるらしくて」
「カーロストっていうんですけど、彼がヤクハさんと知り合いと言ってます」
メドーマン「あーそう。ちょっと待ってて。連絡するわ」
もしもし?俺んとこの店に来た子供の家族がアンタの知り合いっつってんだけど。
パルロ「お兄さん、マットはオレ達に渡して貰って良いからと言ってくれない?」
メドーマン「...ああそうだ、マットは自分たちに渡してくれって言ってるから。」
電話を切った。
メドーマン「ヤクハは家に帰るって言ってたから」
パーター「ありがとうございます!」
パルロ「オレ、カーロストとこの子供・・・パーターって言うんだけど、2人の家族だから、家の場所はカーロストから聞いてるよ」
メドーマン「分かった。気をつけて」
パーターとパルロがヤクハ達の家に行こうとするとき、初老の男性が
店に入って来た。
フェズル「おいメドー、まだおにぎり残ってるか?」
パーター「げ!」
パルロ「? どうした?」
パーター「あの人オレの中学校の先生だよ!私服だから一瞬分からなかったけど」
パルロ「えっそうなのか!?」
司書教諭フェズルは、カウンター前にいるパーターのもとへジリジリと近づいてくる。
お前、この前校庭で坊主を追い払ったときにダリアと一緒にいた奴やろ
パーター「そうですけど...」
パーターは珍しく冷や汗をかいていた。
フェズル「名前は? ダリアとはどういう関係や?」
パーター「パーター・リッシェルです。彼女とは小学校の頃から友達です」
フェズル「娘に何かしたらタダで済むと思うなよ」
パーター「はい...」
パルロ(このおじさん、ヤクハさんの持ってる写真で見たことある気が...)
(ヤクハさんが誰かと住んでることは知ってたし、このメドーマンっていうお兄さんとその彼女のことも写真では見たことあったけど、メドーマンさんってこういう人だったのか...)
(それにしてもこのおじさんはヤクハさんとどういう関係なんだろう?この人は確かヤクハさんとこに居候してる訳じゃなかったよな。見たところメドーマンさんと親しそうだけど)
見かねたメドーマンが話題をおにぎりの話に移した。
メドーマン「フェっさん、ほらツナマヨ。他も買っていけよ。残ってても俺が食べないといけねーから」
フェズル「じゃあ3個買っとくわ。それじゃ」
メドーマン「ああ。無理し過ぎんなよ」
フェズルはおにぎりを買うと早々に店をあとにした。
メドーマン「パーター君。わざわざヤクハの姉さんの私情に付き合わせといて、うちの友人のおっさんが悪かったな」
パーター「いえ、父親としての感情考えると当然だと思います」
パーター(いや、友達だったのかよ!!!)
メドーマン「あの人は娘にちょっと過保護過ぎんだよな。悪い奴じゃ無いから大目に見てやってくれないか」
「あの人君んところの中学の教師やってたんだな。先生やってることは知ってたけど」
パルロ「ってゆうかダリアちゃんの父親がお前の通ってる中学校で教師やってるってだいぶ不遇だよなw」
パーター「うっせー!」
パーター「出来ればあんまり関わりたくねーよ。いずれ挨拶に行かないといけないかも...いや何でもない
パルロ「挨拶?ヒューヒュー!」
メドーマン「君、あいつの娘...ダリアちゃんのこと好きなのか?」
パーター「...バレるよなそりゃ。
はい。実は彼女のことが女の子として好きなんです」
メドーマン「あんなん聞いたらバレバレだろ!
...俺も彼女がいる。告白するのに時間が掛かったもんだ」
メドーマン「何か相談ごとあったらいつでも乗るから」
パーター「オレ達初対面ですよね?本当にいいんすか?」
メドーマンの漢気に心が動いたパーターであった。