ユーニィのお話わたしがフィオルに負けたその日の夜。わたしは、グランポートの宿屋の部屋で寝る事になった。
闘技場では、楽しかった、強すぎるよ、そんなことを口に出して、明るく振る舞ってた。
この部屋には2つベッドがあるけど、誰が来るのかな。
彼女と顔を合わせたくないな。悔しくて泣いてしまいそうだから。負けた景色が、頭の中で繰り返される。
あと一歩だったのに。あそこであの斬撃に耐えれたら、わたしが勝ててたのに。
そんな意味のない考えを繰り返してるうちに、涙が滲んできた。
悔しい、本当に悔しい。鼻も目も涙が詰まって、息が少し苦しくなった。
こんこん、とドアを叩く音がした。
「ルーセッタだ。入ってもいいか?」素っ気ない様子で、ノックの主が言ってきた。
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