盛者必衰のウーベルチュール「着いてくるであります、応援団員」
決闘を通してすっかり様子の変わったゼイエトがそう吐き捨てた。
心配そうな視線を向ける団員を安心させるように合図を送り、ロヴィアンはその背中を追う。
既視感しか覚えない道を辿り、通されたのは見慣れた雑居ビルの一室だった。
「只管打坐、そこに座ってろであります」
言うだけ言ってゼイエトは、さっさと影に潜っていく。
固い床に膝をついたロヴィアンは、静かな部屋に取り残された――背を向けたまま豪奢な椅子に座っている、もう一人とともに。
顔を見せたのは、ロヴィアンにとっては予想通りの人物だった。
「お久しぶりですわね」
「ユウナ……」
ロヴィアンの元から去っていった、姿も声も知りすぎているほどによく知っている幼馴染。
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