Tulip 家を買った。
都心からほどよく離れた、けれど不便とも言えない小さな街の隅。
各自の部屋と、広めのリビングルーム。
恋人が「手術室は必ず作れ」と譲らなかったので、こちらも「トレーニングルーム」をねじ込んだ。
水色の屋根に白い壁。小さく……はない二人で生活するには充分過ぎる広さ。
誰が掃除するんだよ?と初日は不満を口にしていた獅子神自身、快適に過ごす数日を経て、今では掃除をすることすら楽しんでいる。
その、家の庭の片隅。
花壇があった。
せっかくだから何か植えないか?と会話したのは、近くのホームセンターに必要な物を買いに行った日。
恋人も同意し、それぞれ、種やら球根やらを購入した。
「さて、と。何から植える?」
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