胸がぎゅっとするから 大きな手のひらがオレの頬に触れる。
「マイキー……」
低い声が優しくオレを呼んで、ケンチンがじっとオレを見詰めてくる。愛しげに、切なげに、苦しげに――。それを見ていると胸がぎゅっとしてこっちまで苦しくなってくる。
キスなんて何度もしてんじゃん。なんで今そんな顔すんの? そんな――愛しくて愛しくてたまらないみたいな、いつもは見せない顔――。
「ん〜〜〜〜……!」
胸がぎゅっとして、苦しくて、息の仕方も分かんなくなって、柔らかな感触が唇に押し当てられた瞬間、身体が勝手に動いていた。
「痛ってーな! おいコラマイキー、ふざけんなよ! テメェがキスしろっつったんだろうが!」
殴られた頬を押さえてケンチンが噛み付いてくる。その顔はいつものケンチンで、ほっとする。
443