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    しののめ

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    しののめ

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    【サンロビ】Generalpause 幼少期サンロビ双子の誕生日

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    #サンロビ
    sunrobe

     その少年が彼女の手を引き抜け出したのは、決して彼自身のためではなかった。太陽が沈んでしまってから、もう随分と時間が経っている。言いつけを破ってまで飛び出したその空は、深い紺色をしていた。
     はじめに口を開いたのは、少女の方だった。

    「ねえお兄ちゃん、いったいどこまで行くの?」

     繋いだ手をきゅっと握り込んで、その少女は声をひそめてそう呟く。ここには二人の言葉を聞いている者など、お互い以外にいないのに。その仕草があんまり可愛らしくて、少年──サンデーはつい足を止め笑いかける。

    「大丈夫だよ、ロビン。ほら、もうすぐだから」

     もちろん、彼女のように、囁くような声音で。



    「着いた、ここだよ」

     当主の屋敷から、子ども二人の足で三十分歩いてようやくの場所。そしてサンデーの、とっておきの場所。

    「どうしても、キミを連れてきたくて」

     そう言って、少年は年相応に笑う。こっそりと時計を確認して、小さく息をつく。よかった、なんとか間に合った。数日前に用意していた椅子を二つと、大きな毛布を一枚。あとは待つだけだった。

    「星……きれい……」

     これが見せたかったのね、と嬉しそうに空を見上げるその横顔は、どこまでも優しい。喧騒と街の明かりを遠ざけて、澄んだ静寂の中に群星は輝く。

    「ねえ、ロビン。明日が何の日か、わかる?」

     その手を離すのが惜しくて、もう一度握り直す。サンデーが言葉を発するのと同時に、夜空に一閃、また一閃。

    「……誕生日、おめでとう。この流星群を、キミにあげるよ」

     もう今日になっちゃったね、と少年は無邪気に笑う。ロビンの瞳が流れ星を反射してきらきらと光っている。それが夜空の一等星みたいに眩しくて、けれど星なんかよりもいっとう大事なものに思えた。

    「あ! でも私、お兄ちゃんに何もあげられてないのに……」
    「そんなの、キミの笑顔を見られただけで十分なのに」

     心からの言葉だったのに、可愛い妹は満足してくれないようだった。

    「だって今日は、お兄ちゃんと私の誕生日だよ。私だけもらってばっかりはよくないわ」

     そう言って、ロビンは考え込むように流星の軌跡を見つめている。
     ──ああ、ずっとこの夜が続けばいいのに。
     世界で一番美しい宝物を握りしめたままで、少年は心の中でそう呟いた。

    「決めた! 私が将来歌手になったらね、きっとお兄ちゃんに特等席を用意するの。だからお兄ちゃんも、一番近くで私の歌を聴いていて」

     絶対だから、と天真爛漫な笑顔を浮かべるその子に、一瞬見惚れてしまう。はっとして、そうして少年はそっと微笑む。

    「……うん、絶対だよ」

     だからどうか、そのときまでずっと、一緒にいられますように。
     この手を、離さないままでいられますように。
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    しののめ

    DOODLEケビ←スウ 再会前 伝承編のネタばっかりです

    「僕はケビンの親友だからね」
    僕のヒーロー

     花は散っていくものだ。
    「おはよう。昨日は、病院の梅が綺麗に咲いていたよ」
     一つ。
    「……おはよう。おやすみかな、もう。また僕は……助けられなかった」
     一つ。
    「おはよう。今日は……少し遠くまで、花を探しに行こうかな」
     また、一つ。
    「それじゃあ、行ってきます、ケビン」
     写真の中、暖かな笑顔を浮かべる彼にそう声をかけて、その青年──スウは、大きく息を吸い込んだ。
     たった一人の親友、そして、スウにとって唯一で最高のヒーロー。それが、少年の目に映るケビンという男の全て。バスケが好き、流行りの音楽も好き、そして気になる女の子がいる。そんな、どこにでもいる普通の男の子。それが彼だった。まだ未熟で幼くて、暖かく明るい声で自分の名を呼ぶ少年の姿を、スウは一度も忘れたことはない。眩しくて、優しくて、隣で燦々と輝き続ける、太陽のような男。いつか、それを見つめる自分も灼き尽くされてしまいそうだ、なんて、幾度となく浮かんだ考えは、とうとう実現しなかった。本当に、あの太陽に身を焼かれていれば、何か変わっていたのだろうか。
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