嘘吐き「ねぇ」
腕をぐいっと引っ張られて立ち止まる。
力はそんなに強くない。
陽も傾き掛けたビューティーハリー。
庭先は騒がしいが、それぞれが出払っていてとても静かだった。
ぶっきらぼうなその声の主に少しだけ驚く。
振り返ると、やはりそこには少年がいて。
「…ビシン」
その名前を呟いて振り向けば、少年は少し俯きがちにほまれから目を逸らす。
「どうかしたの?ハリーたちならいないよ」
顔を覗き込むと、あからさまに顔を背ける。
「…違う。アンタに用があるの」
夕陽のせいか、少しだけ赤くなった頬。何だか機嫌悪そうに唇を尖らせている。
自分から声を掛けた癖に…。
でもそれを口にしたら更に機嫌が悪くなりそうで。
「・・・・・・」
綺麗な白い髪に、まだ幼さの残る顔。肌は白くて睫毛は長い。よく見ると本当に美少年と言う言葉がピッタリだ。…なんて、ぼんやりと考えながらゆっくりと彼の言葉を待つ。
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