うちの富さに(導入)「本丸」と呼ばれるお城に着くと同時に私は大きくため息をついた。
審神者のおばあちゃんが引退した。
本来なら沈丁花家の審神者業はそこでおしまい……の、はずが沈丁花家本丸の戦績を政府から買われ「審神者の適性のある私」へ「引き継ぎの打診」が来た。
あの時「やりたくないです」ときっぱり断ればよかったのに「学校に行かなくて良い」とか「政府が生活費を全部出してくれる」とか、嘘みたいな甘い話にまんまと引っかかって承諾をしてしまった……というわけだ。
やっぱりやりたくない。このまま引き返して政府に断りの連絡を入れようか。でも先にこの本丸に荷物送っちゃったんだよな……。
そんな調子でしばらく門の前で唸っていると、中から小さな男の子が手を振ってきた。
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