渡しておけばリツカは腕を組んで首を傾げ、眉間にキュ、と皺を寄せてむむむ、と唸った。
百人おったら百人が「悩んでいるなあ」という感じだったし、実際悩んでいた。来週、宮本伊織がカルデアに来て一周年になるのでプレゼントを考えていたところ。
この慣習は、まァ、割と初期から始まった。
最初はマシュの誕生日を祝ったのだ。ケーキとささやかなプレゼント共におめでとうを伝えた。
そしたらそれを見ていた茨木童子が「ずるい!」と声を上げたのだ。彼女はケーキを見てそう言ったのだろう。甘味の好きな彼女のことだ、ホイップの乗ったケーキを密輸のようにコソコソ渡していたので、ずるいずるいと言った。
「マシュの誕生日なんだ。特別な日なんだよ」
「ただ生まれただけではないか」
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