第三章子供達が消えた。
あれほどまでに賑やかだった施設内は静かになり、数多くいた子供達はいなくなってしまった…ある子は親に止められて、ある子は二度と呼吸をしなかった。それに…生まれて間もない子供達の命は脆い、拘束力の弱い子供は大人の都合で消されていく
表向きに、子供を募集し一時期騒がしかった施設…何人かがこの施設を卒業したりもした…時が流れるのは本当に早い。楽しい時間はあっという間だった
🎓「また戻らなくちゃね、教育係として」
子供達が消えた今、忙しかった大人達も暇そうにしているし、私にはアナナ⬛とロググ⬜の二人を見なくては行けない仕事が残っている
上の指示で、今後"窓の子供達"を表向きに集めることはしないだろう。今残っている子供達も、通過点としてこの施設を忘れてしまうだろうから……
寂しいけれどこれが現実で、使える子供だけが残る……それが私が大尉になった理由。
しかし、時には私の意見が通らない事がある
今回の拘束力の弱さが上層部で疑問視されてしまったのだ、あれほどまでいた子供のほとんどが"機能"せず軍へと引き抜けもしなかったからだ…
その飛び火がアナナとロググへ向かってしまった
二人は二等兵でありながら、自由奔放に遊んでいるしデジジ大佐の元にいても機械に触れて頻繁に壊してしまう。私が教育係として来たものの、彼らの予測できない問題行為…上が見逃すはずもなかった
【アナナ二等兵、ロググ二等兵の2名に対して" 暗殺 "が下された】
本来孤児ではない子供に軍は手を出してはならない…しかし事故ならどうだろう?止む終えない爆発に巻き込まれ死亡…普段から爆発させている彼らならありうるような話、上がやりそうな簡単な隠蔽の仕方
不穏な空気を感じる
施設が忙しくデジジ大佐と会話を長らくしていない…早く報告しよう。
私が教育係として二人に合ったのはまだしっぽのついたオタマの頃、そこから少し経過してアナナの暴力性を利用して精神的操作を行ったけど、残念ながら失敗…部屋が爆発で散らかった事とロググが片目に怪我を負っただけで、デジジ大佐によってアナナの精神は正常に戻されてしまう
精神的操作に関しては、反抗期……そして大人になる前の家族愛の再確認だと言うことで私を罪に問わなかったデジジ大佐…やはりお優しいというか甘すぎるというか………強制的な"上の命令"だったとは言えど、怪我した弟を抱きしめ続ける姉アナナの姿を見て、少しだけ…少しだけだけど、私の中で罪悪感を覚えた
私はそんな二人を見ていられなくて、忙しいという窓の子供達の面倒を手伝う為逃げるように二人から距離を取った…そして、今日はとても久しぶりに会う…。
⬛「エレレ先生!久しぶり!!」
⬜「お久しぶりです…だよ姉さん…エレレ先生お久しぶりです、お元気でしたか?」
二人はすっかりしっぽの取れた大人の姿になっていた、帽子もお揃いのようにして今でもとても仲の良い雰囲気が伺える、そして奥にいるのが、少し怒っているデジジ大佐……
📶「エレレ、大体の事は予測済みだが…二人は私の部下にすると言ったはず、先日中将が二人を養子にしたいと直接書類を持ってきた…何をした」
⬜「養子は嫌ですけどそこまで気に入られてるなら、何が凄い事を任せたいのかもしれないですね!…確かに、大佐の元で働きたかったですが恩をお返したいですし…大佐も昇格するかもしれませんよ?悪い話ではないのでは」
⬛「そうそう!!恩返ししたいよ!養子になってもパパママと会っていいって言ってたし!」
養子なんて嘘だ……罠に決まってる。
私は暗殺命令を知っている…言うべきか?
🎓「行ってはだめ……殺されるわ」
とっさに言葉が出てしまった。
デジジ大佐が会ったという、中将……恐らく私はその人を知っている。私の大尉情報をわざとらしく隠蔽したのも、ご両親に教育係を勧めたのも、このアナナとロググの多額の失態を隠し続けたのも
"""プロロ中将"""
彼は気にいった者を玩具にするサディストで、
階級を降ろされそうになった事は過去に何度かあったようだが、彼の肥やさせる釣りのような計画性によって皆恩があり手を出せないのだという。
私も、アサシンを辞めるときに苦労して彼の手を借りてしまった。だから…アナナとロググを守るということは仇を返すことになる………
📶「中将は私よりも階級が上だからな無礼を働けば軍法違反になるぞ、どうする?星を出るか?」
🎓「ふふ怖いのですか?いや、二人を逃がすおつもりですね?貴方だけここに残って…私もここにいますよ」
⬛「殺されるって何…?私達、殺されちゃうの?どうしよ!!皆で逃げる!!よね?ね??そうだよね…?」
⬜「……」
今後の事を話し合わなくては行けないというのに、ロググはずっと黙っている。
📶「大丈夫だロググ。私達がいる」
🎓「そうですね私の方からも部下を呼びます、ロググを守れるチームも組みますから」
⬛「や、やるぞ!!!やられる前にやってやるもん!大丈夫だよロググ!お姉ちゃん戦えるようになったし!」
⬜「…泣き虫は卒業したんです、だから励ましはもういいんですよ、それに僕はこの問題を解決させられます」
そう言って一人でにロググは部屋を出ていってしまった…私はプロロ中将の支配の範囲を知っている、だから止めようとしたのに、デジジ大佐とアナナが私の腕を掴んで止めた。何も言わず、ここで待っていようと…
ジリリリリリリリ
途端に本部に響きわたる、異常事態を知らせるベルが鳴り、デジジ大佐の部屋全てのデスクがERRORと文字を繰り返し表示している、次の瞬間電源が落ちたのか停電する。
ピピッと緊急通信が私だけに入る
???「なぁおい、さては暗殺失敗したなぁ?システム全部落とされて優秀な奴ら集めても復旧しないってことは、やっただろぉーおかげさまで研究してた化け物は逃げ出すわ温度調節必要な植物は枯れるわで最悪なんだけどぉー」
最後に小文字が入るような、変な話し方をする…これは…プロロ中将。ロググが手袋を外し本部のシステムを全てエラーにしたのだ力の制御は出来なくても規模は想定以上…
ロググが本部のどこかにいるはずだが、カメラもシステムも動かない今見つけられるはずがない。ロググはアナナとは違い、触れた物を強制エラーにさせる。そのエラーにさせる力で、これから起きるであろう莫大な被害を人質のように取ったのだ。あの泣き虫のロググが。
イライラしているプロロ中将に、少しだけ…笑いが込み上げてくる、自然な感情…もう戻らないと思っていたのに
🎓「今なら彼を止められますよ?どうします?彼、相当怒ってますよ、今度来る時には養子申請用紙じゃなくて反省文もってきたらどうですか」
📶「うん?会話してるのか?まて、その反省文私が読む訳ではないよな?いらないぞ…上官の反省文なんて見たくない」
🎓「だめですよ、いつもアナナとロググの反省文を読んでるじゃないですか、気持ちがこもってるか確認してもらわないと!それに、たまには違う人の読みたいでしょう?」
⬛「あははは!エレレ先生面白いーー!!私も他の人の反省文見てみたい!」
本部が大パニックになっているというのに楽しそうな3人
プロロ中将は、長くため息をついたあと「持っていく」と一言だけ残して通信を切った。
ーーーーーーーーー騒動から数日後ーーーーーーーーーー
後処理に苦労したであろう顔のプロロ中将がデジジ大佐の元へ言われた通り反省文を持ってきた。アナナとロググは緊張感も無く、美味しいクッキーを準備して…
私は紅茶でも準備すれば良いかしら?
ーハッピーエンドー
長らくの閲覧ありがとうございました。
これにて、📶🎓⬛⬜そしてプロロ中将の
本編ストーリーは終わりとなります。
プロロ中将はこの小説後にいる流れで描いていくと思いますのでどうぞこれからも私の、オリケロ達の日常をお楽しみください