お題: 分かって欲しくない「君のプライベートも少しは尊重しないとな」
降谷さんが何気なく言った一言に、僕は驚いて箸を落としてしまった。
今日は安室透の部屋で晩ごはんをご馳走になっていた。降谷さんのお料理は相変わらずとても美味しくて、今の今までニコニコしていたのだが、いっぺんで青ざめてしまった。
「ん? どうかしたか?」
「いえ、なんでも……」
降谷さんがぼくのプライベート云々を言い出したのは、先日の怪盗キッドの事件のせいだ。
降谷さんに呼び出されて沖野ヨーコさんのライブを見られなかったぼくは、ちょっと拗ねた態度をとってしまった。
降谷さんが送ってくださった、おそらくお詫びの気持ちがこもった品もチョイスが微妙にずれていて(行けなかったライブを再演するなんてそもそも無理なのだが)「そういうことじゃないんだよなぁ」と思っていた。
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