ぼーっと門前の掃除をしているこま♀
小松田くん
ぼー
おい
ほぁ
あれお久しぶりです
利吉さぁん
(入門票を手渡す)
ぼさっとしていていいの?
侵入者が来たらどうするんだ
ふっふっふっ
その時は追っかけっ子して
必ずやサインをいただきますよぉ
……
(なんだか珍しく考え事をしているようだが)
じゃ
あ、あの!
ん?
!
あの…利吉さんは
初対面の人とでも仲良くできますか?
それはどういう状況での話?
えぇと…すみませんっ
やっぱりなんでもないです!!
失礼しました……
掃除に戻るこま
?
用事が終わり
門の所へ行くと小松田くんが居なかった
まったく、少し待つか
こ、困りますよぉ
とりあえずお帰りください
?小松田くんいるのか?
!!!
つれないじゃないか
秀子さんの働く姿すら見せてくれないなんて
秀子さん?????
ダメなものはダメなんです!
お引き取りくださいぃ
どゆこと
とりあえず観るか
モブ平さん!
関係者以外は立ち入りを
禁じられているので入らせる訳には行きません!
そもそも何方にご用事で?
君に用事があるから来たんだよ
今度会うお約束の日はまだ先のはずです!
待てなくて逢いに来たんだ
(は?あいつなんて言った?アイニキタ?)
お仕事にならないのでぇ帰ってください!
次会う時にまで待っててくださァい
つれないなあ
悪かった、じゃあまた今度逢う時にね
ん〜?
利吉さん何隠れていらっしゃるんですか?
!!!
何事もなくスっと出てくる
隠れてたんじゃない
落としたものを拾っていただけだ
おかえりですかぁ?
そうだよ
そうしたら君がいなくて
待ってたんだよ
すみませぇん
ちょっと困った人がいたものでぇ
いいさ別に
はい書いたよ
…………
またね小松田くん
利吉さんっ
何?
ちょっとだけ相談してもいいですかぁ?
でなに?相談って
僕、16でまだ結婚出来ていないから……
見合いの話が家に来てて……
あれよあれよといつの間にか
商家の店に嫁ぐことになってて……
僕返事してないのに…
もう会ったのかい?
その商家の人に
はい、とてもいい人でした
ならいいじゃないか
(空を見る)
で、なにか不満があるから
相談なんだろうけど
(顔は向けず視線だけこま♀に向ける)
あ、あの…その……
みるみるうちに顔が真っ赤になる
泣かせたか?
と、嫁ぐまえに…ごにょごにょ…
?聞こえない
お、お耳貸してください…
こしょこしょ
(僕、利吉さんが好きです)
!
こしょこしょ
(とてもわがままなことをお願いします
……
こしょこしょ
(1度きりでいいんです
同衾して欲しい、です)
真っ赤っか
真顔の利吉脳内フリーズ中
嫌ならば構いませんっ
ず、ずっと
ずっと……お慕いしておりました…
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ふしだらお願いであることは分かっています
このことは墓まで持って行きます
はっ
1度で良いんです
僕と恋仲になってください……
凄い熱もってるけど
風邪引いている訳じゃないよね
ち、ちがっ
からかわないでくださぁい!
ごめんごめん
……
少し考えさせてくれないか?
ぁ…?
はい!もちろんです
(相手って多分あの門にいたあの男だよな……
顔や仕草は覚えた少しばかり情報を集めてもいいだろう
あのへっぽこを乗り越えられるかみてやる)
(ふふふ、ここ1週間見てやった
今や小松田くんよりあの男を知っているぞ)
(結論、問題なさそうむしろ本当に良い奴だった)
あれ、これ私が割って入ったら
逆に小松田くんの未来を潰すことに
なりかねるのでは
…………
(顔を真っ赤した小松田くんを思い出す)
!
侵入……利吉さん!
ちゃんと門から入ってくださぁい!
すとっと小松田くんの前に飛び降りてくる利吉
サイン!
はいはい
君は嫁いだらここを離れるのかい?
!
……それは、まだ、決めていません
まだ猶予があるって事なのかな?
まあいいや
それであの時の返事だけど
!!
私なりに考えた
君ともし過ごすとしたらと
はい
いつものように君は仕事をしながら
誰かを迎え、誰かを待つのだと
それがいつもならどんなに幸せなんだろうなと
待っていてくれる人がいるから
安心して出立できるし帰路につける
私ならいつ死ぬかも分からない職業だ
死んだことすら秘密にする
しかしあの男の場合はどうだろう
戦が激しくなれば分からないが
きっと君と最後までいてくれる
そう、思った
君を悲しませない男はどちらなのかと
君を幸せにしてくれる男はどちらなのかと
答えは明白だ
……つまりは、
君を悲しませたくもないし
かと言って幸せにもしてあげられない
!
ずっと鼻をすすり顔を空に向けるこま
こんなことをいうと
君は不愉快かもしれない
聞き流してくれて構わない
……
実は君の婚約者について
情報を集めていたんだ
!
集めていくうちに
君があの男の家で幸せに暮らしている
未来が見えてしまって
そんな所に私が割って
入っていいものなのかと
思ってしまったんだ
〜っ
やっぱり利吉さんは
素敵な人ですね
僕の心配だけでなく
相手の心配までしてくれるんですもの
流石でず
ずぴっと鼻を啜り
ポロポロと涙を流していた
(泣くよな……当たり前に)
僕のことは構いませんっ
利吉さんが考えてくれたことを
胸に大切に仕舞います
そこまで考えてくれた事が
何よりも嬉しいです
ありがとうございますっ
これで僕もなんの未練もありませんっ
ご迷惑おかけしてすみませんでした!
あ、利吉さんだぁ!
いつもの3人がくる
では、と小松田くんは
足早に去っていった
小松田さん後ちょっとでここ辞めちゃうんだって
おい!しんべえ!
あっ!これ言っちゃダメだったんだぁ
それはいつなんだ?
乱きりは
利吉のただならぬ気配を察知して
ぼ、僕たちも風の噂っていうかそんな感じで
詳しく知らないと言い残し
しんべえを抱えてどこかへ逃げていった
荷物早く渡して会わねば……っ