カルタゴのリンゴ(柘榴)Side:M
in vino veritas(酒に真理あり)
「俺、ココにずっと居たいかも〜」
血中アルコール濃度が0.1%を上回ったのだろうか、ほろ酔いのミスタは上気して薄桃色に染まった頬で、ゲラゲラと笑いながらこの酒肴の提供主に語りかけた。
テーブルには、缶チューハイと言うカラフルで、美味しい日本のカクテルに、塩分の濃い目の適度なツマミ。
「おやおや。狐様は何時にも増して上機嫌だな。」
同じ様に白い肌を染めながらも呆れた様に皮肉を返す、黒髪の友人の口元は嬉しそうに笑みの形をしていて、矢張りこの空間を樂しんで居てくれているようだと安心する。
1人で飲むのも嫌いじゃ無い。じっくり考えを整理して、深く沈み込む静かな時間も大事だけど、酌み交わす楽しさを知ってしまった。
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