山甲斐でオメガバース(未完)「ひぁッ……も、やめでッ………ごめ、んなさッ………あぁぁ!!」
鳥籠のように狭い部屋にみだらな音を響せる俺とひたすら快感を貪るだけの男が一人。
「いやだっ!も、たすけ、てッ……やまがたァ………んぁああっ!!!」
「うるせぇ!!騒ぐんじゃねぇよ!!!」
思い切り頬を殴られて血の味が広がる。とても痛いハズなのに、その痛みすらも快感へと変わってしまう浅ましい体を自分のものだなんて絶対に認めたくない。それなのに、気持ちとは裏腹に通りすがりの見知らぬアルファの男に貫かれて俺の体は喜んでいる。
「ひぅっ………あ、ん、んん、ひっぐ、うぅぅ……………」
「体は、正直だなァ?もうちょい待ちな、今熱いの、奥にたっぷり、出してやるから、なァ!!!」
「いや、まって、……だし、ちゃ、やだぁああ!!ん、んあぁ、赤ちゃん、できちゃう、からぁ、!!」
必死の抵抗むなしく、男は言葉どおりに俺の奥深いところに余すことなく精を吐き出した。
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この世には一般的な男女の性の他に第二の性というものが存在する。そのうちの一つであるオメガが己の第二の性だと教えられた時は酷く絶望したものだ。しかもちょうどその頃は、1番慕っていた父親が浮気をして、身も心もおぼつかない状態であった。しかも浮気相手は男だった。父親はゲイだった。
タイミングが最悪だったんだ。
嫌なことばかり立て続けに起こって疲弊した俺は、幸せ街道まっしぐらな人生をかなぐり捨てて、ゴミがそこらじゅうに散らかってむさくるしさしかないような職業訓練校の学生へと転落した。
家出した頃の俺はまだ幼かった。オメガに関するろくな知識も持ち合わせないまま成り行きで家を飛び出したので、発情期が近づくと街をゆくハイエナ共が欲望をギラつかせた瞳を向けてきたりもした。もちろん抑制剤など持ち合わせていなかったので、フェロモン全開で街中を右往左往する俺はそれこそハイエナの格好の餌だったという訳だ。
「きみ、オメガ?
そんな匂い漂わせて街ゆく人吹っ掛けて楽しいの?ど淫乱だね、これだからオメガは…」
なんだかもう、とにかく辛くて、体の内側から溢れてくる初めての焼け付くような熱をどうにかしたいということしか考えていなかった俺は、目の前に現れた男の発する言葉も聞こえなくなっていた。ただただ、この内側にくすぶり続ける熱を、沈めたい。ただそれだけだった。
その日、俺は純潔を散らした。
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