迷惑な友人放課後、カイルの姿が見えなかったのでしばらく探していると、理科準備室から聞き覚えのある声がした。窓から覗き見れば、ブロンドヘアを肩まで伸ばした同級生、サミュエルが、カイルと向かい合って話していた。手狭な準備室には二人しかおらず、サミュエルはカイに緩く握られた左手の指をしきりに気にしていた。別になんてことのない仕草だ。カイは誰に対してもああいうふうに振る舞った。
「カイル…」
「うん?あっ、ごめん!おればっかり話しすぎだったよね。今度はサムの話を聞かせてよ」
「ううん…もっと聞きたい。話して、カイル」
伏し目がちなサミュエルのグレーの瞳は、長いまつ毛に縁取られている。いかにも育ちの良さそうな美人顔だ。少々陰気臭いが。陰がある美少年だとか言って、卒業した先輩たちからもサミュエルは人気だった。低学年の頃はカイが一番可愛がられていたけど、今は上背があるからか、最終的にはサミュエルの人気の方が高かった。あと、一部にはやたら育ちを気にする人達もいたし。
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