迷える羊関わりたくない。
「でも関わらないと命がない」
「世の中とはどうもこうして世知辛いものなのだ」
地獄の魔王様直々の命により、あのデタラメ聖職者二人を堕落させる事となった悪魔二人は嘆く。しかしてそんな事をしていても時間の無駄なだけで。
「てな訳で、僕らの手を取ってくれないか?」
あの町に戻った悪魔二人は人間に擬態する事もなく、片膝を付いて聖職者二人にそれぞれ手を差し出していた。それに神父ルイージと修道士エルはぱちくりと瞬き。
「…………まさか悪魔から正々堂々と堕落のお誘いをされる日が来るなんて、思ってもみなかったなぁ」
「それも白昼堂々となぁ」
「ボクらもまさか正々堂々とこんな事する日が来るなんて発想すらなかったさ」
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