幕間の楓恒⑨「丹恒よ、これはなんだ?」
丹楓が持っている写真は、いつだったかピノコニーで写真を撮りたいと呼ばれた時に列車の皆と一緒に撮ったものだった。
それを撮っていたのは、星のはずだが現像されているところを見ると三月あたりにデータが送られたのだろう。
どうしてそれを丹楓が持っているかはわからないが、眉間に寄った皺の深さから丹楓の機嫌があまりよくないことは伺い知れる。誰が丹楓に写真を渡したのかはわからないが、どうして渡したんだという気持ちになってしまうのも仕方がないだろう。
「記念撮影を行いたいと言うから付き合っただけだ」
「だけ?」
「そうだ、それ以上のものではない」
丹楓の眉間の皺は浅くなるどころか深さを増しているようだ。なんのせいでそんなに不機嫌になっているかわからず丹恒は首を傾げている。
1113