6年分の初恋の路そのしなやかな背は、羽が生えたように宙を舞った。
「闇ノ、スコア更新だ!!!」
わっ、と歓声が上がる。
無論ちやほやされたくてやっていることではないのだが、それでもこの瞬間がたまらなく好きだった。
何故って一番は。
「シュウ!おめでとう!!!」
僕より一回り、いや二回りも大きい身体で駆けてきた彼の後ろには、ご機嫌に振られる尻尾が見えた。
僕よりも嬉しそうなその姿に、じわじわと体温が上がっていく。
「ルカ!約束のパンケーキ、今日食べに行こうか」
そう言うとまた彼は、僕にしか見えない魔法の尻尾をぶんぶん振った。
彼と初めて出会ったのは、中学1年生のとき。
僕は入学当初帰宅部で、毎日仕事で大変な母に代わって妹の面倒を見るのに忙しかった。
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