弻馬温の逆襲 最近雨ばかりだな。大作は男の後をついて行きながら、窓の外を眺めた。窓にぶつかった雨粒が窓ガラスにたくさんの筋を残して煌めいている。晩夏の夜の空気はじっとりと湿って、雨に濡れた肌をさらに冷やしていく。
「寒いだろう。部屋には暖房を入れてあるから、もう少し辛抱してくれ」
「あ、はい。ありがとうございます」
男に連れられて歩いているこの場所は、国際警察機構の施設ではない。ロボを封印されてしまった大作は自ら国際警察機構を離れ、今はBF団の幻夜の下にいた。心細さから無意識に左手の手首に手を触れるが、そこには日焼けの跡が残るばかりでもう何もない。
「君の部屋はここだ」
大作がよそ見をしている間に目の前を歩く白い背広――幻夜が立ち止まった。壁に付いているボタンが押されると、プシュッと音を立ててドアが横に開いた。流れ出た暖気が体を包み、大作は思わずほっと息をつく。
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