逝こう※注意※
・彰冬前提
・死ネタ
・人によってはメリバだしばっとえ
彰人が死んだ。
俺が信号を渡っているときに車が突っ込んできた。その時、彰人が俺をかばって轢かれた。
「彰人………」
「東雲くん……」
白石と小豆沢も目の前で見てしまったからか、ショックが大きいようだ。
「彰人………なんでよ……アンタ…………」
彰人の姉である絵名さん。その顔は悲しみに満ちていた。
「俺の………せい………」
「え?」
「俺のせいで……彰人は……っ!」
そうだ。全部俺が悪いんだ。あの時俺がいなければ………。
「あ………おっ……れが……いなければ……彰人は……」
呼吸が乱れる。過呼吸だ。視界が霞む。頭が痛くなる。何も考えられなくなる。
「っ冬弥落ち着いて大丈夫だから!!」
「青柳くん!しっかりして!!」
「はぁ……っ……はぁ……うぅ……」
苦しい……。息ができない。意識が遠のく。
白い天井。ここはどこだ?俺は確か………
「冬弥大丈夫?」
白石だ。ここは病院か?俺はどうなったんだ?
「ああ……大丈夫だが……どうしてここにいるんだ?」
「いきなり倒れて運ばれたんだよ。過呼吸になってたし心配したよ〜。」
「そうか………。そういえば小豆沢は?」
「こはねは絵名さんと一緒にいるよ。私は2人に頼まれて付き添いで来ただけだよ。」
「そうなのか……ありがとう。」
「いえいえ〜」
それから少しの間沈黙が続いた。
「ねぇ……冬弥、自分を責めちゃだめだよ……」「え?」
突然白石が口を開いた。
「さっき過呼吸になったとき言ってたじゃん。『俺のせいで』とかなんとか。」
「それは……」
言えるわけがない。だってこれは俺の責任なんだから。
「冬弥は何も悪くない。大丈夫だから………」
「………あぁ。」
「……じゃあ、私はこはねたちのところに戻るね。多分医者から話があると思うからちゃんと聞いておいてね。」
「わかった。色々ありがとうな。」
「うん。また後でね。」
そう言い残して白石は病室から出て行った。
しばらくして医者が来た。
言われたことは、鬱病だということ。また、情緒不安定になっているということ。
これは彰人の死によるものだろうと言われた。
そして、しばらく入院することになった。
お見舞いに小豆沢や白石も来てくれたし、司先輩と神代先輩、暁山も来てくれた。ただ、今は誰とも会いたくない気分だった。
退院して1週間がたった。
学校には行くが話したとしても本を借りたり返したりする人のみ。
学校が終わって帰ろうとしたときに絵名さんに会った。
「あっ……冬弥君……」
「こんにちは……」
気まずい空気が流れる。
すると絵名さんのほうから話しかけてきた。
「冬弥くん、彰人が死んで辛いかもしれないけど頑張ろう。私も一緒に頑張るから。」
「はい……」
励ましの言葉をくれた。
「あっ私これから学校だからもう行かなきゃ。それじゃあね。」
「はい。頑張ってください……」
絵名さんを見送ってから家に帰った。
家に帰ってすぐ自分の部屋に行った。
ベッドの上に寝転んで考えた。
俺はこのまま生きていていいのか? あのとき俺が気をつけていれば彰人は死ななかったはず。
いや、俺さえいなければこんなことにはならなかったはずだ。
それに俺が生きていたら、今度は小豆沢達に迷惑をかけてしまう。
今ならまだ間に合う。俺なんかいないほうが……
「俺が……死ねばよかったのに………。」
気づいた時にはカッターを手にしていた。
これで手首を切るだけで終わる。簡単なことだ。
俺は左手首に刃を当てた。
ただ、もしこれで死ねなかったら………?
周りの人たちにまた迷惑をかけてしまうのではないだろうか……?そんなことを考えているうちに手が震え始めた。
怖い……死にたい……。でもこれ以上周りに迷惑をかけるのだけは嫌だ……。
結局俺は死ぬことができなかった。
どうしたら死ねるのだろうか。
俺はスマホを取り出して調べた。
『楽に死ねる方法』
そう調べたが、電話のダイヤルなどが出てくるだけで死に方などは載っていなかった。
本を買った。自殺の仕方が載ってる本だ。
楽に死ねそうな方法を探した。
「………これなら……」
睡眠薬を大量に飲むというものだ。
俺は早速薬局に行き大量の睡眠薬を買ってきた。
その日の夜ご飯の後に飲んだ。
味は苦かったが我慢して全部飲み込んだ。
その後すぐに眠気が襲ってきた。
やっと死ねる。もう誰にも迷惑をかけずに済む。そう思って眠りについた。
目が覚めるとそこは真っ暗な空間にいた。
ここはどこだ?死んだんじゃないのか……? とりあえず歩いてみることにした。
どれくらい歩いたのだろう。何も見えないから距離感がわからない。
疲れた……。
「冬弥」
えっ……? 後ろを振り返る。そこには彰人がいた。
「彰人!!」
俺は走った。
そして彰人の手を掴んだ。
「冬弥……」
「彰人、ごめん………俺のせいで……彰人が………」
「違う……お前は何も悪くねぇよ……」
「でも……!!」
「冬弥、まずなんで俺がお前を庇ったと思う。」
「えっ………」
彰人が俺を見つめる。
燃えるような真剣な目で。
「……なぜなんだ。」
「俺はお前に生きていてほしかった。」
「………え?」
「あのとき死んでほしくなかった。いつも頑張っている俺の相棒。そいつが死なれるのが嫌だった。」
「彰人………。」
少し悲しそうな顔をした。
「まあお前を苦しませてしまったけれど………」
「彰人………俺が勝手にしてしまったことだ。気にしないでほしい。」
「冬弥………」
俺は彰人の手を握る。
「一緒に逝こう、彰人。」
「ああ。」
彰人が俺の手を握り返す。
202×年 ×月××日、××時××分 青柳 冬弥 永眠