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    おもち

    気が向いた時に書いたり書かなかったり。更新少なめです。かぷごとにまとめてるだけのぷらいべったー→https://privatter.net/u/mckpog

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    おもち

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    PsyBorg。💒

    #PsyBorg

    明日は大切な日だから寝坊なんてしないように早く寝なきゃいけないのに、そう思えば思うほど眠気は遠ざかっていった。最近はすこしマトモになっていたけれど俺は元々夜型の人間だし、明日のことを考えてしまうと緊張と興奮が脳を刺激する。
    俺はもぞもぞと寝返りを打って隣で眠る恋人の方へ体を向けた。こちらに背を向けている彼は俺と違って規則正しい生活をしているからか、こんな日でもいつも通りにぐっすり眠れるようだ。穏やかな呼吸音を聞くとすこし気分が落ち着いてくる。もっと彼に落ち着かせてほしくなった俺は体をじりっとにじり寄らせて彼の背中に額をくっつけた。
    トク、トク、と伝わってくる彼の心臓の音が、触れたところから俺の心のリズムも正してくれる。安心して吐き出した熱い呼気は彼の肌を撫で、ビクッと彼が体を震わせた。
    「……起きてるの?」
    「……おきてる」
    「寝てると思ってた。ごめん、俺が起こしちゃった?」
    「いや、なかなか寝付けなくて……。……そっちを向いても?」
    「ん」
    彼の体から少し離れると、彼はくるりと体を反転させて俺の方を向いた。寝付けなくて、と言うわりには眠たそうにゆるんだ瞳が俺を映す。
    「そわそわしちゃうよね」
    「ああ、そうだな。……うまく寝られそうか、浮奇? 少し酒でも飲めば気が紛れるかな」
    「んー……ちょっとだけ、ふーふーちゃんのことぎゅーってしていい?」
    「……いくらでも」
    腕を広げて見せる彼に「ありがと」と呟き、俺は彼に抱きついて胸に頬を当てた。布団の中でぬくまった滑らかな肌の奥、背中からも感じた心臓の音はさっきよりもテンポが上がっている。トクトクトクとリズミカルなそれについ笑みが溢れた。
    「な、なんだ」
    「ううん……大好きだなぁって。ふーふーちゃんは、寝られそう? お酒付き合おうか?」
    「……いい。このまま、ここにいてくれ」
    俺の髪に触れていた彼の手がそのまま頭を撫でてくれたから、ぐりっと顔を擦り寄らせて甘えてみせる。心臓の音はさっきより聞こえづらい。自分の心臓がうるさくなってしまったから。
    「浮奇、たぶん気が付いているだろうから白状するけれど、浮奇とくっつくと心臓がうるさくなる」
    「ん、へへ、聞こえてるよ」
    「でも、これでいいんだ。生きている実感を得られる。浮奇がそばにいると俺はただの一人の人間でいられる」
    「……これからもずーっとそばにいる」
    「ああ、ありがとう」
    「こっちのせりふ」
    甘えた声で言って一層強く抱きしめると、彼は笑い声で優しく体を震わせて、見せないように顔を隠した俺の輪郭をこっちを向いてと言うように指先でなぞった。
    やだ、涙目、見られたくないんだ。だってまだ泣くのは早いでしょ。それなのに「浮奇」って大好きな声が俺の名前を呼ぶから、俺は我慢できずに顔を上げてしまう。
    「もうすこし上においで」
    「んん……」
    「心臓の音はあとで好きなだけ聞いていいから。いまは、キスがしたい」
    ストレートなおねだりの言葉に簡単に負けて、ずりずりと体の位置を動かし彼とおでこをぴったり重ねた。すんと鼻を啜る俺を彼は目を細めて見つめてくる。
    「今のうちに泣いておけば明日は泣かずに済むんじゃないか」
    「ノー。絶対に泣くよ、誓える」
    「ふ、そんなこと誓わなくていい。……大丈夫、どれだけ泣いたって、俺はどんな浮奇も愛してるから」
    「っ、ねえ、泣かせようとしないで……! 明日目腫れたら最悪だから!」
    「うさぎみたいに目元が赤くなってるのも可愛くて好きだけど、そうだな、明日の浮奇が最高に満足できるように、今日は優しくしてやらないと」
    「ん、んぅ、ねえ、ばか、わざとでしょ」
    ちゅ、ちゅっ、と言葉の合間に唇が重なり、彼の熱くとろけるような視線が俺を射抜く。熱を持ち始めた体に彼の手のひらが触れると緩んだ涙腺が余計に涙を溢れさせた。
    本当に今日は泣きたくないのに、彼が甘く触れてくれるのを拒否もできなくて溢れた涙が枕を濡らしていく。必死にかき集めた理性で「ふーふーちゃん」と呼んだ声は、やめてというよりもっとという響きを持っていた。
    それなのに、彼はピタッと動きを止めると唐突に体を起こし、驚いて目を丸くしている俺から視線を逸らした。
    「……なにか冷やすものを持ってくる」
    「え、しないの……?」
    「……したい、が、浮奇をこれ以上泣かすわけにはいかないし、……明日、……明日の夜に、したい」
    「……あ」
    「目、擦らないようにして待っててくれ」
    ぽんぽんと優しく俺の頭を撫でたあと、彼はベッドから出て行った。残された俺は彼の言葉の意味を理解して熱くなった頬を手のひらで覆った。だって、明日の夜って。……はぁ、ほんと、ロマンチストで可愛い人。
    濡らしたタオルと水のペットボトルを持って戻ってきた彼に、ベッドの上で起き上がった俺は「ん!」と両手を伸ばした。笑いながら差し出された二つを無視して彼の腰をぎゅうっと抱きしめる。
    ねえ、神様に誓うより先に、自分自身の心に誓うよ。なにがあっても絶対に離れない。キミのことは、俺が幸せにする。
    明日の結婚式まで待てなくてごめんね、神様。指輪の交換は明日まで我慢するから、楽しみに待ってて。
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