白夜問答【白夜問答】
グランサイファーの食堂の一角にある小さな扉はいつも灯りがついている。
そこは眠れない乗組員たちの小さな憩いの場にもなっている。
今、グランサイファーはファータ・グランデ空域の厳冬の島に来ていた。ハルヴァーダ──ナル・グランデ空域の亡国となったトリッド王家の末裔、ハルの住む島、ノース・ヴァストである。
珍しく今日は昼からの強い風が止み、空が澄んで見えるほどの静かな夜だった。だが、この季節は太陽が水平線に沈まない為、この島は一時的に夜のない季節──白夜となるのであった。
暗くならない日が続くと、身体は休む為の機会を逃し、眠れなくなる乗組員が増える。そんな時に酒でいっときの睡りに逃げることもできるが、毎日飲むわけにもいかず、頼みの綱であるラードゥガは店主がジュエルリゾートへと興行へ出ている為に不在であった。
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