むかしむかし、ある森に赤ずきんちゃんという、とても可愛らしい子が住んでいました。
今日はお出かけの日。
赤ずきんはお気に入りの赤い頭巾と柔らかな袖の白いシャツ、花柄模様の赤いフリルスカートを着て、元気いっぱいに家の扉を開けました。
「タバコと酒と、ツマミと……おし!準備万端!」
腕に掛けたバスケットの中身を確認すると、赤ずきんちゃんは森向こうに住んでいるおじいさんの家に向かって歩き始めました。
おじいさんは最近腰を痛めてしまって、こうして赤ずきんちゃんが必要なものを届けてあげているのです。
心優しい赤ずきんちゃんは、楽しそうに鼻歌を歌いながら鬱蒼とした森の中へと続く道を歩いていきました。
「おい」
赤ずきんちゃんが森の中を歩いていると、突然茂みの中から黒い影が現れました。
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