Lycoris radiataの生活環・Ⅳ「それでは、失礼します」
童磨に伴われて、炭治郎は応接室をあとにする。
そういえば、病室へと案内して貰う途中だったか。そんな記憶がやっと意識の表面に浮かんでくる。途端にずしりと重くなる肩。随分長い間話し込んでいたようで、もう窓の外では日光が夕に色づき始めていた。扉をくぐろうとしたところで、無惨が思い出したかのようにふたりを呼び止めた。
「ああ、童磨。ついでにこれを資料室に持って行け。もう、必要のないものだからな」
首の向きだけで、無惨はドアの傍らに立つ本棚を指し示す。中程の段に書類ラックが突っ込まれており、中にはカルテらしきバインダーが数枚詰まっていた。童磨は軽く会釈をしてそれを抱えると、再び炭治郎を促して扉の外へと出る。
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