フォーチュンドール6章4話魔女であるドクターに澪は質問した。悪魔となってしまった人間を戻すことが出来るのかと。ドクターは少し考えつつ自分の見解を述べた。
「結論から言うとできないね。人間が悪魔となるのも、おそらくは人間が魔女になるのとそう変わらないもんだと思うよ。魔女から戻るというケースは今までに聞いたことがないからね。」
「そうか…」
話を聞き、澪はうつむきながら返事をした。雫も朝も戻ることはない…ならどうしたらいいのか。ひとまず朝がどういう行動をとったか思い出す澪であるが、過去のことに気をとられていたためあまり覚えていない。しかし、雫に攻撃しようとしたのは確かだった。なぜ雫を狙ったのか…魔女であるからか?澪は周りに共有するように声に出しながら話を整理した。
「姉さんが悪魔になった…雫に攻撃しようとした…悪魔は魔女を狙っているのか?それはなぜ?」
「まぁ、人間に戻れるかはあくまで憶測でしかないけどねぇ。その悪魔になった奴は強いのか?」
「僕も油断していたからね…」
「お兄ちゃん…それより…」
「あぁ、武器でも作るか。」
澪は考えても仕方ないと、気を取り直して武器を作ることにした。将信や凛太郎が魔力などを鑑定し、幸と澪が考えながら作っている。そんな中、ドクターはティンダロスに興味津々である。
「おう、これはまた変わったものをお持ちで~。」
「ティンダロスだワン。この前、悪魔に攻撃されたワン。直してもらったワン。」
「俺の愛情で動くようになったぬいぐるみなんです。」
「ほほう。それは興味深いねぇ。研究したいんだが貸してくれるかい?」
「唯ちゃん…やめといた方か…・いいよ…?」
ドクターは断られてショボンとする。そうこうしているうちに、雫の魔法武器が完成したようだ。一見ストラップのついたペンに見える。澪曰く雫の特性に合わせた武器のようで、うまく使えるかどうかは今後の鍛錬次第だと話した。雫が受け取り微笑むと澪がやさしく雫の頭をなでた。この日はこれにて解散となった。
次の日、幸と将信は雫と鍛錬を終え、学園の教室で澪が雫の迎えに来るのを待っていた。澪が雫のことを心配になり、1人で歩かせたときに朝に出会うことを避けるためである。そこに現れたのは澪ではなく、同じく学園に通っている夏希であった。夏希はいつも通り上機嫌で将信と幸に話しかけてくる。
「Hey!そこの仲良しカップルのお二人さん~。」
「いや、付き合ってないんだが…」
「付き合ってません。」
「そーゆーところも息ピッタリじゃないっすか~あのサイボーグ男も彼氏とか言ってたし~。」
「やめろ!」
サイボーグ男…鯆の事なんだろうけどと、幸は複雑な気持ちになっていた。殺されそうになったとはいえ、彼の結末を見てしまうとやるせない気持であった。幸がうつむき気味になっていると夏希がデコピンをして明るく声をかけた。
「な~に浮かない顔してんだよ~。」
「あ、すいません。」
「謝ることないよ~悪いことしてないもん。」
「あ、はい…。」
幸の気分は晴れない。それでも夏希は幸に対して明るく接してくる。たまには将信の事も茶化してくる。そうこうしていると、澪と夜が雫の迎えに来た。幸達は夜と初対面のため、将信が澪に夜のことについて聞いた。
「先輩、そちらの方は?」
「あぁ、兄弟の事か?」
「えぇ~兄弟っすか~?似てないですね~。」
「血は繋がってないぞ。こいつは夜、道場での兄弟子だな。ちなみに、この前の悪魔になった知り合いの件はこいつの姉さんの事だ。」
「あぁ、姉さんってそう言うことでしたか魔女を狙ってる可能性もあると言ってましたし、気を付けてください。」
「俺も兄弟から話は聞いた。姉ちゃんが生きてるのはいいんだが、悪魔になったの言うのは信じがたいな。」
夏希が悪魔の事も何もわからずに話を聞くと驚くが、澪なら大丈夫だろうと言うと、澪も油断して攻撃を受けた話をする。
「よーし、それじゃあ、私も雫ちゃんの護衛をしようじゃないか~。」
「いや、そこまでしなくていいぞ?」
「えぇ~さすがに心配ですよ~。」
「また出会う可能性はあるがそこまで高いわけじゃない」
「とりあえず家までついていきますよ~澪先輩~。」
「はぁ。」
「なぁなぁ、将信も一緒にどうだい?」
「何で俺まで…」
なんやかんや夏希のテンションに振り回され、幸と将信もついていくことになった。6人は帰り道を歩いていく。いつも澪たちが歩いている道だし、何も起こるはずがない…と思っていた。もうすぐ家に着くからとそろそろ夏希たちも解散していいぞと澪が言って、道の角を曲がった先に偶然か否か、朝がいたのだ。朝は雫を見つけるとこの前と同じように攻撃を仕掛けた。それに対し澪が雫を庇ったうえで、気功を駆使し、朝に剣を受け止める。
「この前のようにはいかない。」
夜は朝がいることに動揺し、それが本物かまじまじと見ていた。そしてそこにいたのは朝だけではなかった。朝に気をとられていた幸達のところに、不意打ちでニヴルヘイムが攻撃してきた。その攻撃を受けたのは将信だった。将信の声を倒れる音に、振り向いた先と夏希。そして夏希は目を見開いた。
「おー、冬ねーちゃん!?久しぶり~大胆なコスプレしてるっすね~。」
言ってる場合か。幸も倒れた将信を心配するどころか、鯆と初めて会った時のことを思い出したのか、将信に対して言った。
「先輩、またですか…」
辛辣か。そしてニヴルヘイムもとい、夏希の姉である冬希が夏希と目を合わせると動揺からか硬直する。一方、澪は朝に対し、受け止めた剣を払い、朝に組み技を決める。その隙に夜に攻撃するように指示をするが夜はなかなか攻撃しようとしない。朝は澪の組み技に動けなくなっているが次の瞬間、朝の両腕は刃物となり、背びれと尾びれが生えてきたのである。身の危険を感じた澪はすぐさま朝から離れるが。
「何してんだ兄弟!」
「無茶言うな!というか攻撃しろよ!」
夜と喧嘩寸前の状態である。そこに以前、幸が見た死神のような何かが現れ、悪魔となっている二人に対し、状態が悪そうだから撤退するように言い、その場から2人を連れて行こうとする。元の姿に戻った朝は夜に手を伸ばし、共に来ないかと誘ってきたため、夜もそれに手を伸ばそうとするが、澪がそれを阻止した。
「何をやっているんだ兄弟!」
夜がハッと気が付いたときには朝と冬希はその場からいなくなっていた。将信は前に幸からもらった人形に魂を移していた。
「お前らの姉さん、どうしてあんなことに?」
「こっちか知りたいよ~。」
「というか、またですかとはなんだ尼波!?」
「あら、つい言ってしまいました。」
夏希が将信の本体の状態を確認し、澪に運ぶのを手伝ってもらおうとするが、澪は今にも夜を殴ろうとしていた。人の道を自ら外れようとする態度が気に入らなかったようだ。雫が必死に澪を止めていた。夏希は将信の本体を運ぶのを幸に手伝ってもらうことにして、この日は解散した。
朝と冬希の目の前には死神のような悪魔がいた。そして命令は下された。魔女の情報を集めるために魔女を捕らえよ。これからは別行動をし、魔女を見つけ次第、仲間に連絡せよ。そしてお前たちの仲間を一人追加しよう…ヘルヘイムだ…
続く