キャンペーン 真っ直ぐに大通りを前進すると、僕は左右に視線を向けた。無数の飲食店が集結したレストラン街は、ビルの至るところにカラフルな看板が掲げられている。左から肉の焼けるいい匂いが漂ってきたかと思うと、今度は右から甘い匂いが流れてきた。ビルとビルの間の僅かなスペースには、所狭しとキッチンカーが出店している。
覚束ない足取りで人々を避けながら、僕はビルの看板に視線を向けた。人並みの視力しかない目を凝らして、そこに書かれている文字を読もうとする。ごちゃごちゃとしたビルの壁面看板は、設置場所によっては非常に読みづらいのだ。しかも、ようやく文字が読めたとしても、その看板がどのフロアを指してるのか分からなかったりする。
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