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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    流菜🍇🐥

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    チームごっずの新年会にお呼ばれされるTF主ルチの話。一応鏡開きネタのはずなんですよ。

    ##TF主ルチ
    ##季節もの

    新年会 町を歩いていると、誰かから声をかけられた。僕の友人だけど、ルチアーノはあまり好まない人物……不動遊星だ。
    「明けましておめでとう、遊星」
     新年の挨拶をすると、遊星は口元に笑みを浮かべた。新年の決まり文句を告げる。
    「明けましておめでとう」
    「今日は、遊星一人なの?」
    「ああ、クロウは配達があるし、ジャックも忙しいみたいだからな」
     そのまま、近況報告や雑談をする。しばらく会っていなかったから、積もる話はたくさんあった。ポッポタイムの近況を話した後で、遊星が思い付いたように言った。
    「そうだ。今度の休みに、ポッポタイムで新年会をやるんだが、お前も来ないか?」
     意外な申し出だった。ルチアーノと交流するようになってから、僕はあまりポッポタイムに向かっていない。ルチアーノが嫌な顔をするからと、遠慮していたのだ。
    「申し出は嬉しいけど、ルチアーノが寂しがりそうだから、遠慮しておこうかな」
     ルチアーノは、シグナーと対立している。彼らの間には、軋轢があるはずだ。僕が断ろうとすると、遊星は言葉を続けた。
    「ルチアーノも連れてくればいい。俺からも伝えておく」
    「本当に、いいの? みんなが困らない?」
    「一時休戦と言うことにしよう。気にするな」
     不安はあるが、遊星に言われると、なんだか大丈夫な気がしてしまう。
    「ありがとう」
     遊星の好意に感謝して、参加させてもらうことにした。僕は、遊星たちとも仲良くしたいし、ルチアーノにも、彼らと仲良くなってほしかったのだ。

    「今度の休みに、遊星たちのところへ行こうと思うんだ」
     そう伝えると、ルチアーノは予想通り嫌な顔をした。彼は、シグナーと対立している。彼らに対してあまりいい思いをしていないのだ。
    「勝手に行けばいいじゃないか。僕は気にしないからさ」
     強がりを言っているが、声は少し震えている。本心では、行ってほしくないのだろう。
    「ルチアーノも誘われてるんだよ。良かったら、一緒に行かない?」
     尋ねると、ルチアーノは僕を睨み付けた。その目付きは、敵を見る時のように鋭い。僕越しに、チーム5D'sの姿を見ているようだ。
    「嫌だよ。シグナーとなんて関わりたくない」
     やっぱり、簡単には受け入れられないらしい。これから戦う相手なのだから、仕方ない。
    「そっか。それなら、僕だけで行ってくるね。気が変わったら、また、教えて」
     僕は、ルチアーノにチーム5D'sと仲良くなってほしいと思っている。でも、それは無理に求めることじゃない。ルチアーノがその気になるまでは、そっとしておこうと思った。

     遊星の元を尋ねるのは久しぶりだ。何か、手土産を持っていこうと考えて、鏡餅を片付けていないことに気づいた。
     棚の上の餅を手に取ると、キッチンへと向かう。プラスチックのケースに、個包装された一口サイズの餅が詰められている。蓋を開けると、餅が転がり出てきた。
     鍋に小豆缶を開けると、水を注いで煮詰める。とろみがついてきた辺りで、餅を入れてさらに煮詰める。
    「何作ってるんだよ」
     ルチアーノが僕の手元を覗き込んだ。
    「お汁粉だよ。鏡開きのお餅は、みんなに振る舞うといいって言うから、遊星たちに食べてもらおうと思って」
    「ふーん」
     興味なさそうな様子をしているが、手元をチラチラと見ている。
    「良かったら、ルチアーノも一緒に行かない?」
     誘うと、迷ったように視線を彷徨わせる。
    「でも、シグナーは敵だろ」
    「一緒に来てくれると、僕は嬉しいよ」
    「…………分かったよ」
     本当は、一人が寂しいのだろう。迷っているみたいだが、ついてきてくれることになった。最初の頃に比べると、ずいぶん素直になったものだ。なんだか、感慨深さを感じてしまう。

     久しぶりのポッポタイムは、何も変わっていなかった。チャイムを鳴らすと、真っ直ぐにガレージへと案内される。
    「お邪魔します」
     声をかけると、忙しそうに動き回っていた遊星がこちらを振り向いた。
    「○○○とルチアーノか。来てくれてありがとう」
    「明けましておめでとうございます。お汁粉を作ってきたから、良かったら食べて」
     挨拶をして、ガレージの中へと足を踏み入れる。ルチアーノをつれているが、嫌な顔はされなかった。机の上に鍋を置く。
    「鍋ごと持ってきたの?」
     ブルーノが僕たちに尋ねる。
    「そうだよ」
    「言ってくれれば運んでやったのに」
     クロウが、遊星を手伝いながら言う。三人は忙しそうに歩き回っていた。
    「僕が勝手に持ってきただけだから、気にしないで。ところで、ジャックは?」
    「買い出しに行ってるよ。そろそろ帰ってくるだろうな」
     僕たちが話をしていると、少し離れたところから、龍亞の元気な声が飛んで来た。
    「○○○、明けましておめでとう!今年もよろしくね!」
     笑顔で僕の元へと駆け寄ってくる。隣にいるルチアーノを見て、少しだけ困ったような顔をした。
    「明けましておめでとう。今年もよろしく」
     そっと頭を撫でると、くすぐったそうに笑った。
    「もう子供じゃないんだから、そういうのはいらないよ」
     そう言いながらも、表情は嬉しそうだ。隣から、ルチアーノが茶々を入れる。
    「そんなんで喜んでるなんて、まだまだ子供じゃないか」
    「ルチアーノだって、○○○と手を繋いでただろ!」
    「いつの話だよ」
     言い争いを始める二人を見て、僕は微笑んだ。もう、すっかり友達同士といった様子だったのだ。心配していたけど、大丈夫だろう。子供たちは、大人が思うよりも柔軟なのだ。
     二人から離れて、龍可に声をかける。隣には、アキの姿もあった。
    「明けましておめでとう」
    「明けましておめでとう。今年も、よろしくね」
     龍可の頭を撫でようとして、躱されてしまう。宙に上げた手を戻せないでいると、龍可は、いたずらっぽく笑った。
    「わたしは、いいのよ。もう、子供じゃないんだから」
    「○○○にとっては子供かもしれないけど、龍可ももうレディなのよ」
     アキにも言われてしまう。龍可も、もう十二歳なのだ。大人びてくる頃なのだろう。
    「みんな、どんどん大人になるんだね。びっくりした」
    「それは、○○○もでしょう。すっかり、旦那様って感じよ」
     そう返されて、思わず言葉に詰まってしまう。驚いている僕を見て、龍可が可憐に笑う。
     みんな、大人になっているのだ。僕たちの知らないところで、どんどん成長していく。
    「おい、○○○」
     後ろからルチアーノに引っ張られ、二人の元から引き剥がされた。
    「どうしたの?」
    「僕から離れるなよ」
     しっかりと僕の腕にしがみつく。シグナーに囲まれて、どうしていいか分からないみたいだった。龍可が微笑ましそうに見ているが、ルチアーノには言わないことにする。
    「戻ったぞ!」
     不意に、入り口から大きな声が聞こえた。ジャックが帰ってきたのだ。遊星に買い物袋を差し出している。
    「全員揃ったみたいだな」
     遊星が言うと、室内の全員が手を止めた。遊星によって、ジュースの入ったグラスが配られる。
    「改めて新年、明けましておめでとう」
    「おめでとう!」
     全員で乾杯をする。戸惑っているルチアーノの姿が、妙に新鮮に思えた。
     今日だけは、ルチアーノもイリアステルの幹部ではなく、ただの男の子だ。この日が、ルチアーノにとって幸せなものになるようにと、心の隅で祈った。
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