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    流菜🍇🐥

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    TF主ルチ。TFで紅茶をもらったことがあるけど、ルチにも紅茶を楽しんでもらいたいなって思っただけの書き散らしです。

    ##TF主ルチ

    紅茶 町を歩いていると、ルチアーノから声をかけられた。振り向くと、両手で何かを持っている。
    「これは僕からのプレゼント。受け取ってくれよな」
     そう言って彼が差し出したのは、箱入りの紅茶だった。黄色の箱に、箔押しのロゴがついている。どう見ても高級品だ。
    「これって、高級ブランドの紅茶じゃない? 本当にもらっていいの?」
    「いいんだよ。僕には不要なものだからね」
    「ありがとう。嬉しいよ」
     お礼を言って箱を受け取る。金色の文字は、僕でも知ってるブランド名だった。普通に買えば三千円はするだろう。
    「すごいね。こんなものまでもらうんだ」
     ルチアーノは、治安維持局の重役と関わりがあるらしい。おそらく、取引相手から贈答品としてもらったものだろう。僕にとっては別世界の話だった。
    「こんなもの、もらっても嬉しくないのにね」
     棘のある声で言う。口に合わないものを渡されたことが気に入らなかったらしい。相手は株を上げようとしているのに、気の毒な話だ。
     ルチアーノは、紅茶が嫌いだった。どうやら、苦い飲み物の全てが口に合わないらしく、日本茶やコーヒーにも嫌な顔をする。要するに、飲み物に関しては子供舌なのだ。
    「せっかくの紅茶なのに、飲めないなんてもったいないね」
     何気なく言うと、ルチアーノは尖った声で言った。
    「別に、もったいなくないぜ。元々、僕たちは食事なんて要らないんだから」
     子供みたいだと思ったことを見抜いたのだろうか。彼の観察眼は、かなり鋭い。

     数日後、僕はルチアーノを探していた。彼に、渡したいものがあったのだ。
     ルチアーノは、いつものように町を歩いていた。不思議な白装束に身を包んでいるが、周りの人々は気にも留めない。相変わらず不思議な光景だった。
     声をかけると、彼はこちらを振り向いた。僕に視線を向けて、にやりと笑う。
    「なんだ、君か。僕に会いに来たのかい?」
     からかうような声だが、そこには嬉しそうな響きが滲んでいる。紅茶の件といい、それなりに心を許してくれているようだ。
    「今日は、僕からルチアーノにプレゼントがあるんだ」
     鞄からラッピングの袋を取り出すと、ルチアーノに差し出す。彼は、訝しみながらも受け取ってくれた。
    「なんだよ。これ」
     袋に入っているのは、ジャムの瓶だった。ラベルには『ぶどう』と書かれている。この前、輸入食品を売るお店で見つけたのだ。隣には、ルチアーノからもらった紅茶のパックが入っている。
    「ジャムだよ。ジャムを紅茶に入れると、甘くなるんだって」
    「紅茶にジャム? 聞いたこともないぜ? 合うのかよ」
     ルチアーノは呆れ顔で言う。
     僕は、ルチアーノにも紅茶を楽しんでもらいたかった。せっかくの貰い物で、高級ブランド品なのだ。少しも飲まないなんてもったいない。
    「試してみてよ。おいしくなかったら、返してくれていいから」
    「まあ、そこまで言うなら、貰ってやってもいいけど」
     熱意に押されたのか、渋々ながら言葉を引っ込める。なんか、押し付けるような形になってしまった。
     僕は、紅茶に詳しくない。紅茶にジャムが合うかなんて分からないし、ジャムがどんな味なのかさえ知らないのだ。ルチアーノの好みに合う保証はなかった。
    「それにしても、君って、本当に貢ぎ物が好きだよな。賄賂のつもりかもしれないけど、治安維持局への紹介はできないぜ?」
     ジャムの瓶を見つめながら、からかうようにルチアーノは言う。プレゼントを賄賂と認識するところに、彼の生きてきた環境を感じた。
    「賄賂じゃなくてプレゼントだよ。僕とルチアーノは、友達なんだから」
     友達という言葉を聞いて、今度は戸惑ったように視線を彷徨わせる。友達という関係に慣れていないのだろう。そんな反応は新鮮で、かわいらしい。
     僕とルチアーノは友達だ。ルチアーノが認めなくても、僕は彼の友達であると主張する。彼には、心を許せる相手がいないのだから、僕だけは対等な存在でいたい。
     プレゼントを渡してから数日が経っても、ルチアーノからジャムが返されることはなかった。気に入ってもらえたのだろうか。彼のことだから確証はないけれど、そうだとしたら、僕は嬉しい。
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