ヒーローショー その日のシティ繁華街は、妙にたくさんの人で溢れていた。普段から多くの通行人が集まる大通りの歩道を、隙間なく人々が埋め尽くしている。不思議に思って左右に視線を向けると、周りを囲んでいるのは親子連ればかりだった。それも、小学校に上がる前くらいの、小さな子供を連れた大人ばかりである。
正面から歩いてきた小さな子供が、僕とルチアーノの間を通り抜けようとする。危うく繋いだ手をほどかれそうになって、僕は急いで腕を上げた。僕の手に引っ張られるようにして、ルチアーノも嫌々万歳のポーズを取る。子供が背後へと消えていくと、彼は不満そうに鼻を鳴らした。
「なんだよ。この辺の通りは、どこを見ても子供しかいないじゃないか。何か祭りでもやってるのか?」
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