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    流菜🍇🐥

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    ルチから物騒なプレゼントをもらうTF主の話。ルチの物騒な部分が好きです。

    ##TF主ルチ

    護身道具 ルチアーノと一緒にいると、彼らの敵に狙われる。デュエルを挑んでくる相手なら倒せばいいのだけど、大半は武器を用いた闇討ちの類いだ。そうなってしまうと、僕にはどうしようもない。ただ、ルチアーノに守られるだけになってしまう。デュエルという手段を通さないと、僕はただの人間なのだ。
     僕も、ルチアーノの力になりたい。そう思って、遊星に護身術を習ったりもしてみたけど、いざというときには身体が動かなかった。物理で戦うということは、デュエルよりも難しいのだ。
     そんなある日、ルチアーノは僕に小包を差し出した。高級そうな赤い布に包まれた小箱に、金色のリボンがかけられている。持ってみると、思ったよりもどっしりとしていた。
    「僕からのプレゼントだよ。開けてみて」
     にやにやと笑いながら、楽しそうに言う。
     リボンを解き、箱を開けると、中には黒いボールペンが入っていた。高級品なのだろうか。丁寧にクッションのようなものまで敷かれている。持ち上げてみると、ずっしりとした重みを感じた。
    「これは、ペン……?」
     僕は尋ねる。見た目は完全にペンだけど、ただのペンとは思えない重みをしている。こんなもので文字を書いたら、手が疲れてしまうだろう。
    「なんだ、もう気がついたのかよ」
     つまらなそうに言って、ルチアーノはペンを奪い取った。持ち手の部分をこちらに向けて、軽く振って見せる。
    「これは、ペンの形をしたスタンガンだよ」
     彼はにやにやと笑う。僕には、その言葉の意味が理解できなかった。
    「スタンガン……?」
    「君も、名前くらいは知ってるだろ。電流を流して、相手を怯ませる護身道具だ」
    「それくらいは分かるけど……」
     僕は目の前の物体を見つめる。ルチアーノの手に握られたそれは、少し大きめのボールペンにしか見えない。
    「スタンガンって、もっと大きいものじゃなかった? これで効果があるの?」
     僕が尋ねると、ルチアーノはケラケラと笑う。
    「スタンガンが大型って、いつの時代だよ。僕たちの技術なら、これくらいで十分なんだぜ」
     ルチアーノは、僕にはスタンガンを持たせた。どこを触ると電流が流れるのか分からないから、恐る恐る受け取る。
    「そんなにビビるなよ。……横にスイッチがあるだろ。そこで、ロックを解除するんだ。持ち手側を相手に押し当てると、電流が流れる。……やってみろよ」
     言われるがままに本体に触れた。横のスイッチを押し込んで、ロックを解除する。
    「ほら、僕に当ててみな」
     何気ない顔でルチアーノは言う。
    「ルチアーノに? 大丈夫なの?」
    「僕が電流くらいで倒れると思うかい?」
     そういえば、彼は戦闘兵器でもあるのだった。スタンガンくらい、なんてことないのだろう。
    「いくよ」
     ペンの先を向けると、ルチアーノの腕に押し付ける。バチンという音がして、煙が上がった。反動で、腕に衝撃が走る。
    「この感覚を、ちゃんと覚えておくんだ。このスタンガンは強力に作られてるから、人間くらいは一瞬で気絶させられるぜ」
     にやりと笑って、ルチアーノは恐ろしいことを言う。自分の踏み込んだ世界を自覚して、鳥肌が立った。
    「次は、戦闘の訓練も必要だな。いざというときに身体が動かないんじゃ、何の役にも立たないし」
     そう続けて、きひひと笑った。にやにやした笑顔とからかうような言葉の裏に、少しだけ僕への心配が含まれている気がして、嬉しさを感じてしまう。
     この護身具は、僕がルチアーノの仲間であることの証なのだ。そう思うと、そんなに悪くない気がした。
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